NHKにないものはギャンブルかアダルトぐらい
先にあげた神田伯山の番組に限らず、昨今のNHKには、あらゆるコンテンツが揃っている。
朝ドラ(朝の連続テレビ小説)や、60周年を迎えた大河ドラマ、紅白歌合戦といった長い伝統のある長寿番組に加えて、ここ10年ほどは、朝の生活情報番組「あさイチ」や、「チコちゃんに叱られる!」といった民放と伍すものも少なくない。
Eテレには教育番組が揃い、衛星放送(BS)には映画や海外ニュース、ラジオにはクラシックや語学番組、その上、海外向け放送(NHKワールド JAPAN)と、有料放送と比較してみても、NHKにないものは、ギャンブルかアダルトぐらいだろう。
それほどまでに八方美人、全方位外交の番組編成に腐心している。
「みなさまに支えられて」と、ウェブサイトに掲げる以上、なるほど、日本はもちろん、海外にまで目を向けなければいけない。
結果としてどっちつかずであり、誰を向いているのか、NHKで把握しているのは、トップから末端にいたるまで、どこにもいないのではないか。
他のサービスと比べて高すぎる受信料
悪く言えば、節操のない番組ラインナップの割に、というべきか、それゆえに、というべきか、受信料への割高感は、以前よりもはるかに強くなっている。
とりわけコロナ禍以降、お金を払ってコンテンツを見る、動画配信のサブスクサービスが爆発的に拡大したため、NHKの受信料が高すぎる、と多くの人が感じている。
実際、単純に価格(税込み月額)だけで比べれば、もっとも安いAmazonプライム・ビデオは500円(8月17日時点)、Netflixの最安プランが790円である。
これに比べてNHKは、地上波とBSの両方を見られる衛星契約は2170円、地上波だけでも1225円である。
先に見たように、娯楽もニュースもNHKに求めなくなっているとすれば、同局風の表現を使えば、「これだけのお金を支払う価値を疑う人が出そうです」。