何歳まで長生きできるかで損得が変わる
年金の繰り上げ受給・繰り下げ受給の受給率は生涯続くため、何歳まで生きるかで年金の「損益分岐点」が変わります。年金からは、税金・社会保険料が天引きされるので、損益分岐点も手取りベースで考えましょう。
年金の繰り下げ受給の目安は68歳。寿命が84歳~86歳のときに手取りがもっとも多くなります。ただ、平均寿命も延びるため、68歳以降も働けるならば働いて年金を繰り下げ、仕事を辞めてから受け取るのもひとつの手です。
「加給年金」が加算されると、年間約40万円もプラス
加給年金とは、厚生年金に20年以上加入している人が65歳以上になって老齢厚生年金を受け取る場合に、65歳未満の配偶者や18歳の年度末を迎えるまでの子を扶養しているときに支給される年金です。加給年金の該当者にはハガキが届きますので、見逃さないようにしましょう。
ただし、老齢厚生年金の繰り下げをしている間は、加給年金を受け取れません。そのため、夫婦の年齢差によって繰り下げと加給年金のどちらが有利になるかが変わります。ひとつの目安は「5歳差」。
妻より5歳年上の夫が65歳から加給年金をもらわずに、厚生年金を70歳まで繰り下げた場合、「増額した老齢厚生年金」>「加給年金の金額」となる年齢は86歳~87歳と、65歳男性の平均余命(約85歳)を少し超えたところになります。
したがって、夫婦の年齢差が5歳超ならば加給年金を選び、5歳以下ならば自身の厚生年金を繰り下げしたほうが、もらえる年金の総額が多くなる可能性が高いでしょう。