どうすれば年金をお得に受け取ることができるのか。Money&You代表取締役でマネーコンサルタントの頼藤太希さんは「長生きすればするほど繰り下げ受給が有利になる。年金の繰り下げ受給の目安は68歳。寿命が84歳~86歳のときに手取りがもっとも多くなる。」という――。

※本稿は、頼藤太希『大きな文字でとにかくわかりやすい 定年後ずっと困らないお金の話』(大和書房)の一部を再編集したものです。

霧がかった三叉路
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自営業やフリーランスが年金を増やす方法

日本の公的年金には国民年金と厚生年金があり、加入する人や保険料の納め方、もらえる金額が異なります。公的年金は、老後の収入の柱となるお金です。原則として65歳から亡くなるまで、一生涯もらえます。

国民年金は、原則20歳から60歳まで40年保険料を納めた場合、満額もらえます。2023年度の満額は79万5000円(67歳以下)、79万2600円(68歳以上)です。この金額は、毎年改定されます。厚生年金の金額は、加入期間中の給与や賞与の金額も踏まえて計算されます。

自営業やフリーランスとして働く人が年金額を増やすためには、大前提として、老齢基礎年金が満額もらえるように、「国民年金の任意加入」制度を利用しましょう。これは、60歳以上65歳未満の人が国民年金保険料を納め、国民年金の加入期間を延ばすという制度です。何らかの理由によって加入期間が40年に満たない人などは利用しておきたい制度です。

国民年金基金や付加年金もフリーランスの年金を上乗せする心強い味方です。国民年金基金は毎月掛金を納めることで、会社員・公務員の厚生年金にあたる年金を用意できます。

付加年金は、国民年金保険料に月400円上乗せするだけで、65歳からの老齢基礎年金が月200円×納付月数分プラス。付加年金保険料を2年で回収でき、その後は年金をもらうほどお得になる制度です。

どちらの制度も掛金は全額、社会保険料控除として所得控除になるため、税金を減らしながら年金の上乗せができます。ただし、国民年金基金と付加年金の併用はできません。「国民年金基金とiDeCo」「付加年金とiDeCo」の併用はできます。

ねんきん定期便に「誤り」がないか、しっかり確認

日本年金機構「事務処理誤り等(令和3年4月分~令和4年3月分)の年次公表について」によると、2021年度は事務処理の誤りが1347件あったと報告されています。そのうち約半数にあたる644件が「金額に影響のあった誤り」で、未払いが228件。合計約1億8000万円の年金が正しく支払われていませんでした。

国民の約3割、約4000万人が年金受給者と考えれば、誤りの数はそれほど多くないといえるかもしれませんが、国側が間違えることも意外とあります。万が一年金の記録に誤りがあって年金がもらえなかったら大変です。よって、ねんきん定期便が間違っていないか必ず確認しましょう。

とくに「転職した(何度もしている場合はとくに)」「結婚・離婚で苗字が変わった」「名前の読み方が複数ある」場合には誤りが発生している可能性があります。先の誤り1347件のうち、日本年金機構への問い合わせを機に判明した誤りは588件。疑問点がある場合は問い合わせましょう。