約2年にわたるベニヤ板生活のはじまり

その後、再びカードショップを開きました。ほぼ無一文だったので、機材や商品は借金をしてそろえました。

3月に開店し、9月くらいまでは売上も順調でした。しかし、北海道では早い年なら10月には初雪が降ります。そうなると自転車が使えないので、学生の足が遠のき、これが売上の足かせになりました。その上に借金返済と養育費の支払いが重くのしかかってきます。

支払いが追いつかず、自宅アパートを引き払い、店にベニヤ板で壁を作り、そこで寝泊りすることにしました。約2年にわたるベニヤ板生活のはじまりです。

「セイコーマートの300円のワイン」しか買えない

光のまったく入らない真っ暗な約4畳半くらいのスペースでした。最初はまともに眠ることもできませんでした。

風呂もなければ湯沸し器もなく、窓も換気扇もないその部屋で、ポータブルストーブとカセットコンロ1台を頼りに暮らしていました。冬はストーブを消すと室温が0度まで下がってしまいます。

写真=iStock.com/design56
カセットコンロ1台を頼りに暮らしていた(※写真はイメージです)

このころ、財布にお札が入っていたことはほとんどありませんでした。

近所のスーパーに買い物に行くと、1円単位まで計算してカゴに入れていました。お酒はワンカップの日本酒とかセイコーマートの300円のワインだけ。こんな生活だと安酒で手っ取り早く酔っ払うのが一番なのです。

この時のことは今でも夢で見ることがあります。きっとトラウマになっているのでしょう。