現状維持では生活は苦しくなる一方

国に頼ろうとしても助けてくれません。助けないどころか、私たちを将来にわたって苦しめる存在となりつつあるのが今の日本です。

サラリーマンの平均年収はここ30年で472万円⇒443万円(2021年)と減少しています。『週刊少年ジャンプ』の定価は190円⇒290円(2022年)と、物価は上がり続けているにもかかわらず収入が下がっているのは周知の事実ですが、サラリーマンが給料から天引きされる各種税金や消費税、保険料負担は増加しています。

このように、実質賃金としての年収が減少する中、社会保険料や税負担の増加で手取りの給料も減っているというのは非常に深刻な問題です。進展する少子高齢化による医療費負担増や、団塊の世代が後期高齢者になることでの介護保険の負担増等、給料から天引きされる金額の割合は今後も増え続けます。年収をアップさせない限り、現状維持のままでは手取りの給料が減り続けて生活は苦しくなる一方です。

サラリーマンは最も社会的に保障されている身分ゆえに、国は私たちを苦しめてきます。老後に貰えるはずの公的年金もどんどん減っていくので、「人生100年時代」まで長くなった定年後に備えようとすると、お金のやりくりはキツくなり続けます。会社の定年は60歳、65歳と上がり続け、今後は70歳、80歳、定年廃止と、生涯にわたって働き続けないと生きていけなくなるのだから。

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定年を迎えて「年金で余生」は夢物語

「だったら社会保険料を折半で負担してくれて雇用保険も払ってくれる今の会社を頼ろう。年収がそんなに上がらないといっても、年齢を重ねれば多少は増えるだろうし、ずっと働き続けられるし」そう思っている人は危険です。茹でガエル状態です。

会社の平均寿命は、もはや私たちのサラリーマン人生より短くなっています。大卒から定年まで、今の定年制度なら約40年間働くことになりますが、会社の平均寿命は23.8年(2021年に倒産した企業の平均寿命。東京商工リサーチ調べ)しかありません。ここ10年で創業された企業は20万社ありますが、逆に倒産した企業は9万社もあります。創業100年を超える長寿命の会社は日本全国で2%しかありません(帝国データバンク調べ)。

ただでさえ長くない企業の寿命は、テクノロジーの進化が加速している現代では、莫大な利益を生んだビジネスモデルが数年後には赤字に転落しているケースも珍しくないため、加速的に短くなっています。「終身雇用を守っていくのは難しい」と2019年にトヨタ自動車の社長が発言したとおり、1つの企業に長く勤め上げ、そのまま定年を迎えて年金で余生を過ごすという昭和の人生設計は事実上崩壊しています。夢物語となりました。

サラリーマンなら誰もが1回は転職する「大転職時代」を、私たちは生き抜く必要があります。もし会社が倒産したら、無職で放り出されてしまいますから。

悲しいことに、健康で文化的な最低限度の生活に必要な収入や雇用の確保に、国や会社は責任を負うことができなくなりました。そして、「これらの穴埋めは国や会社に頼らずに自分自身で頑張れ、それが自助だ」という意味で副業や投資を今になって推奨しているのだから本当にタチが悪いのです。これ、もしかして事実発表罪で捕まりますかね?