若者の間では拝まれるほどの“存在感”がある

――中国の人たちには漢字の「雪肌精」がよかったかもしれないけれど、インバウンドがなくなったいま、「SEKKISEI」に変えるのに、いいタイミングだと判断されたわけですね。

撮影=プレジデントオンライン編集部

【吉岡】そうですね。「薬用 雪肌精」は1985年発売で、発売から40年近くたっているので、若年層のお客さまの中には「レジェンドみたいで、いい商品なんだろうけど、自分のものではない」という印象を持たれている方もいるようです。「漢字がタテに書いてあって墓石みたい」とか「ドラッグストアで商品が置かれているのを見ると思わず拝みたくなる」というようなコメントももらいました。

――墓石ですか!

【吉岡】そうなんですよ(笑)。そこであえて公式SNSから、「ドラッグストアでは墓石と呼ばれています」といった発信をする、「墓石プロモーション」はどうだろうと頭をよぎりましたが、チームメンバーからは「自虐的すぎる」と却下されました。

何が言いたいかというと、「薬用 雪肌精」のデザインは、若者に購買意欲を誘発できていないけれど認知度は非常に高い。では長年の雪肌精ファンはどうかというと、デザインはともかくとして商品まるごと「いいもの」として認識してくれている。

そのような状況からも、認知度の高い薬用 雪肌精を筆頭に複数のデザインと中身の選択肢があるという訴求の仕方は有効なのではないかと考えています。

大谷効果でUV商品の売り上げが4割アップ

――なるほど。そんなわけで、「誰でも使える雪肌精」ということを伝えるために、羽生選手がCMに出演されたわけですね。

【吉岡】そうです。雪肌精は「植物の力で肌に透明感を与える」と謳っています。実直でストイック、なにひとつ妥協しない羽生選手の姿勢は、この「透明感」にぴったりということで、2019年から雪肌精のグローバルミューズを務めて頂いています。昨年初めて、CMにも出演いただき、「雪肌精に男性用はありません」とメッセージしました。

大谷選手を起用した「雪肌精 クリアウェルネス UVエッセンスジェル」のポスター(画像提供=コーセー)

もう一人のキャラクターは、同じく雪肌精のグローバルミューズである新垣結衣さんです。この2人は日本を代表する透明感コンビといえるのではないでしょうか。新垣さんには「おすすめの年代はありません」とメッセージしてもらっています。つまり、あらゆるジェンダー、ジェネレーションの方に使ってもらいたいということ。

大谷さんの起用はジェンダーを広げるという狙いもありますが、雪肌精を通して幼少期からUVケアをする文化をつくりたいという想いが強くあります。日やけ止めのCMに子供たちのあこがれの大谷選手が出演することで興味を持ってもらえれば、これまで日やけ止めを使っていなかった方々にも紫外線対策をしてもらえるきっかけになるのではと考えています。「大谷効果」もあり雪肌精 クリアウェルネス UVエッセンスジェルの売り上げは前年比で4割以上アップしました。