つみたて投資なら利回り5%でも毎月5万円でOK

次に、同じ2000万円を目標としてつみたて投資で「運用」していった場合、どうなるかを見てみましょう。

資産運用で主に使われるのはつみたてをした場合の複利の計算式です。nは運用年数を表しています。

資産合計=毎月のつみたて額×{(1+年利率÷12)n×12乗-1}÷(年利率÷12)

1に年利率の12分の1を足して、これに運用年数(×12カ月)を累乗し、1を引いて年利率の12分の1で割り、それを毎月のつみたて額とかけ合わせます。例えば毎月のつみたて額を5万円(年60万円)、利回り5パーセントで20年と設定した場合、以下のようになります。

5万円×{(1+0.05÷12)20×12乗-1}÷(0.05÷12)=2055万1683円

毎月5万円ずつ運用すると、20年で2000万円を超えることがわかります。「貯金」との違いは明らかです。利回りについては、5パーセントを想定していますが、これは全世界株式型インデックスファンドのバックテストで通常出ている7〜8パーセントよりも低い数字に設定しています。

運用はつみたて期間が長いほど高い効果が出る

しかしながら、一つひとつ複利の計算をするのは電卓を使ったとしても面倒です。そこで私たちもよく利用しているシミュレーションサイトを紹介しましょう。野村證券の「みらい電卓」というマネーシミュレーターです。

「いくらになる?」の項目に数字を入力していけば、一瞬でわかります。サイトには独自の計算方法があるため、先の計算式とは誤差が生じていますが、気にする必要はありません。なお、シミュレーションサイトの中には、年単位で計算しているものもあります。

次に、「毎月積み立てる」の項目から「毎月いくら積み立てる?」の欄を見てください。想定利回りを仮に5パーセントとし、目標金額は2000万円、つみたて期間を20年とします。

すると、毎月つみたてる金額は「4万9000円」だとわかります。貯金で毎月必要となる金額の6割弱をつみたてることによって、同じ目標額を同じ期間で達成できることがわかります(図表2)。

出典=『定年後でも間に合うつみたて投資』(角川新書)

運用というのは、つみたてる期間が長いほど、より高い効果を発揮します。

例えば、資金目標2000万円を「貯金」で30年間かけて貯めるとすると、毎月約「5万6000円」が必要になります(ゼロ金利を想定)。

2000万円÷30年間÷12カ月=約5万6000円

しかし、5パーセントの想定利回りで、目標金額2000万円を30年つみたてるとすると、毎月つみたてる金額は「2万5000円」。貯金額の45パーセントで達成できます(図表3)。

出典=『定年後でも間に合うつみたて投資』(角川新書)

ここまで差が開くのは、複利効果によるものです。複利とは、運用で得た収益を元本にプラスして運用し、得られた利益のこと。複利効果によって利益が利益を生み、どんどん大きくなっていきます。