「1万円ずつ20年間つみたて」たら元本240万円は1000万円に

将来の予測を立てる手段の一つとして、業界ではバックテストというものが使われます。バックテストとは、過去の動き、実際の成績をもとにして、一定期間に実際どれくらい増えたかということを長期的にシミュレーションするものです。

過去の実際の状況に沿って1万円ずつ投資をしていたら、今後も5パーセントくらいで回るだろうといった、とても面倒な計算を瞬時にやってくれるのです。

「eMAXIS Slim」というシリーズの投資信託商品を対象としたバックテストが、三菱UFJ国際投信によってまとめられています(図表1)。毎月「1万円を1年間つみたて」た場合、5年間つみたてた場合、10年間つみたてた場合、20年間つみたてた場合という4パターンに分けた成績が示されています。

ちなみに、米国株式S&P500の「1万円ずつ20年間つみたて」た場合を見ると、240万円の元本が、約1000万円(約320パーセント増)にまで増えていることがわかります。

これは単なる予想ではなく、実際にその時点でその商品を買っていたとしたら、というリアルな話です。毎月1万円のつみたてで1000万円ということは、もし毎月のつみたて額が3万円だとしたら3000万円ということになります。10年間で120万円入れた場合でも260万円(117パーセント増)。10年だけでもこれだけの実績が出るのですから、元金と利息の合計に対して利息がついてくる「複利」の効果は絶大です。

少額でも時間をかけると複利効果は絶大

複利とは利息の計算方法の一つで、利息にもまた利息がつくことを指します。

1万円の元本を1年間預けて5パーセントの利息がついたとすると、翌年には1万500円となります(500円は元本に対してついた利息)。

次に、この500円も元本に組み込んでさらに1年預けると、今度は1万1000円ではなく、1万1025円(1万円+500円+525円)となります。なお、この25円は1年目の利息500円についた利息です。

これとは別に、2年目も1万円だけに5パーセントの利息がつくとすると、1万1000円(1万円+500円+500円)です。

このように利息を元本に組み込まず、一定の利息となる場合を「単利」と言います。複利と単利では、投資が長期にわたるほど大きな差がついてしまいます。それぞれの計算方法を確認しておいてください。

バックテストに戻りましょう。5年間以上つみたてた場合で利益が出ていない商品は国内債券以外にありません(図表からは省略)。国内債券は20年でも20万円ほどしか増えていませんが、債券は伸びないため、これは仕方ないところかもしれません。なお、国内債券はつみたて投資枠の対象ではありません。

長期的に見てみると、少ない金額でもやってみようという気持ちにはなるのではないでしょうか。ここでの投資信託の成績上位9本が、すべてつみたて投資枠で買える商品だという点も驚きです。