現役時代にコツコツと作った資産は、どのように取り崩すのが理想的なのか。ファイナンシャルプランナーの横山光昭さんは「定額ではなく定率で取り崩すといい。うまくすれば資産を減らさずに取り崩すこともできる」という――。

※本稿は、横山光昭『定年後でも間に合うつみたて投資』(角川新書)の一部を再編集したものです。

ATMで現金を引き出した男性が金額の確認をしている手元
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つみたて投資の資産の取り崩し方

NISAでつみたてた資産はいつから受け取ったらいいのか、取り崩し開始時期を気にする人も多いと思います。しかし、お金が「必要な時期」に「必要な分だけ」取り崩すことが基本です。そのため、今から決めることではないことを先にお断りしておきます。

働くことをやめる、もしくは収入が明らかに減ってくる時期の2〜3年前に家計を見て、整え、年間での支出必要額を見据えておくのがよいと思います。

ときどき見かけるのは、2000万円の資産ができたら、2000万円全額を売却して現金を手にしようとする人です。せっかく貯蓄から投資にゆっくり移動させているのですから、取り崩しもゆっくりと行う意識が必要です。それによって、残っているお金をさらに運用することもできます。

資産の取り崩しは「定額」よりも「定率」

結論を先に言うと、取り崩す場合は「定率」がお勧めです。

定額でつみたてをするのがつみたて投資ですが、運用の成績は、当然ながら年によって変わってきます。売却も同様に、運用成績がいいときも悪いときも一定の割合、つまり4パーセントや3パーセントといった定率で取り崩していくのがいいでしょう。

定率の方が、定額よりも資産を長持ちさせることになります。しかし定率だと、マーケットがよくないときなどはどうしても欲しい金額を下回ることがあります。

しかし、いいときや悪いときを含め、ここでは定率が原則ですが、「定率とは何パーセントか」という問題が出てきます。必要とする金額にもよりますが、取り崩す率は、資産総額が少ない人ほどどうしても高くなってしまうのです。

例えば、普段は4パーセントの取り崩しで済むところ、市場が下がっているようなときであれば、5〜6パーセント分くらいの金額を取り崩さなくてはならない場合もあります。逆に、2〜3パーセントで必要な金額が確保できる場合もあるということです。

取り崩しの方法は、NISAだけを単体で考えるのではなく、退職金や年金の受け取り方とも関係してきます。退職金や年金をどういう方法で受け取るかによって、NISA資産をどう取り崩すかも自ずと決まってくると思います。基本的には、公的年金を後ろ倒しにすることを考えておくとよいでしょう。