余裕があるなら数年様子を見る方法もある

次に、価値が落ちていく場合というのも確かにあると言えます。しかしこれは、価値が下がっていても「売らなければ基本的には負けではない」という部分があると思います。逆を言えば、売らなければ含み益のままで利益確定しないわけですから、上がっていても「お金にしない限りは妄想」だということも言えます。

実質的にはマーケットが悪かったから減ったということになるわけですが、上がっているときには全然違った風景が見えるということでもあるので、長い視点で考えたら、マーケットの評価はあまり気にしなくてもいいのではと思います。

先ほどは、生活費が必要になって取り崩すという前提で話しましたが、非常に少ない額しか取り崩さないという人もいます。

iDeCoも、受給開始年齢が引き上げられました。65歳のときに市場が悪かったら75歳になるまで最長10年間は受け取らないという方法も取れるようになっています。預けておく間も運用されますので、余裕があるなら3〜4年くらい待つということも考えられます。

一度に全額取り崩してしまうと損をする

全世界株式型インデックスファンドは米国を中心に先進国と新興国で構成されています。買っている商品が全世界型1本だけだった場合、例えば中国がすごくいいからこれだけを売りたいと思っても、「新興国」でワンパッケージになっているのでできません。

「全世界」の他に「米国」「先進国」「新興国」というように別々の商品を買っている場合は、マーケットの状態を見て、「新興国」だけを売ることも可能です。そのためには、地域別に棲み分けをするなどして複数の商品を保有しておくことが必要です。

取り崩しをする場合、一度に取り崩してしまっては丸々損になってしまいます。本当に必要になったとしても売却するのは最低限の額に抑えること、そしてできるだけ少額で長期間に分割していくのが鉄則です。多少取り崩したとしても、元本が生涯非課税投資枠を下回っている限りは、またつみたて投資で運用を再開することができます。

きれいに並んだ帯のかかった札束
写真=iStock.com/mapo
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入口は簡単なのですが、出口付近ではまだ伸びるという可能性、または落ちる可能性もあり、またいろいろな回収方法もあって難しいところです。

例えば、債券に切り替えるという人もいます。株式で持っていた人が利益を確定させるには現金化でもいいのですが、現金だとインフレの影響を受けてしまうので、値動きの少ない債券に切り替えるわけです。インフレとの戦いはなおも続くことになりますが、そこに防御する意味合いが加わってきます。