資産寿命を延ばすための「つみたて投資」

資産寿命を延ばすための資産運用にもいろいろと方法はありますが、私が最も有効だと考えるのが、新しいNISAによる「つみたて投資」です。誰もが無理なく長期間できるので最適な制度だと言えます。いわゆる投資行動の一つには違いありませんが、知識も経験も特に必要としないという点で、投資に興味がない人にもお勧めできる内容です。

定年期くらいの人に投資の話をすると、「投資は怖いからいい」と、入口で否定的な感想を持たれることがあります。「そういうリスクの高い投資ではなくて、資産形成のために金融庁が主導してやっている投資制度なんですよ」と話をすると、「あっ、そういうのがあるんだ」と受け止めてもらうことが実際に多いです。

なお、NISAは本人が亡くなったとしても有効です。NISA口座を持っている本人が亡くなった場合、遺族が受け取ることが可能です。ただし、相続人がつみたて投資枠やNISA口座を持っていたとしても、死亡した人のNISAをそのまま引き継ぐことはできません。

もちろん、つみたて投資は自分の資産づくりを行うために始めるわけですが、これからはつみたて投資による遺産づくりを考えてもいいかもしれません。子どもや孫、奥さんなど、相続した人たちは意外なプレゼントを喜んでくれるでしょう。ヘンな個別株や債券をもらうより100倍うれしいはずです。そう考えると、資産は多いに越したことはないし、また、無理に使い切ろうと考えなくてもいいということにもなります。

インフレ率に負けない程度の利回りを目指す

資産運用の利回りは、目安としてインフレ率に負けない、無理のない程度のリターンがあれば十分と考えます。つみたて投資で全世界株式や米国株式のインデックス投資をしたときの平均利回りは多くの場合、5パーセント以上であり、そこまでいかなくとも、堅めに見て3〜5パーセントは見込んでいいでしょう。つまり、これは十分実現可能な範囲であり、無理なく取り組むことができると思います。

無理なくやるという点ではもう一つ、余裕資金でやることが大切です。これまでの資産を失うようなことは決してあってはいけません。