どんな人物が闇バイトに応募するのか

大都市圏の現役保護観察官に闇バイトに加担する若者の特徴について尋ねたところ、「児童養護施設などを出て行き場がない子や、ヒマしている子ですね。彼らは世間を知らないから騙されやすい。実際に使い捨ての『出し子』とかが多いです。内容も分からず、闇バイトに安易に行ってしまう。行動が非常に幼稚な気がします」と嘆息する。

さらに「学童期に苦しかった、しんどい体験を持っている子が、18歳以上になって事件を起こすケースが見られる」という。こうした子は、未成年の段階で事件を起こしていてもおかしくない少年だという。

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「汗水流して働くよりは、楽して稼ぎたい」

令和3年1月1日から同月29日にかけて、法務省法務総合研究所が犯罪者、非行少年行った調査(犯罪者・非行少年の生活意識と価値観に関する研究)によると、「『汗水流して働くより、楽に金を稼げる仕事がしたい』の項目について『そう思う』に該当する者の構成比は、対象者全体では43.3%であったが、若年層において構成比が高い傾向が見られ、20歳代の者(50.3%)が最も高かった」とある。

もちろん、過去にも犯罪に手を染める若者はいた。ただ、現代社会では、YouTubeやインスタ、TikTokなどで、キラキラした場面を切り取ってネット公開し、「お金こそが正義」「ラクして稼ぐ奴が賢い」と煽る風潮がないだろうか。こうした現実は、闇バイトを煽る結果になっているのかもしれない。

「オレオレ詐欺」をはじめとする特殊詐欺が犯罪であるという認識が、メディア等を通して広まってもなお従事者が減らない点は、憂慮すべき状況といえる。早急に特殊詐欺に加わる者の背景を分析し、今とは異なる対策を講ずる必要がある。