オレオレ詐欺や還付金詐欺などの特殊詐欺で検挙される少年が増えている。龍谷大学犯罪学研究センター嘱託研究員の廣末登さんは「彼らの多くは、闇バイトの危険性を理解せず犯罪行為に加担していると考えられる。現状の対策のままでは、若者の逮捕者数は増えるばかりだろう」という――。

※本稿は、廣末登『闇バイト 凶悪化する若者のリアル』(祥伝社新書)の一部を再編集したものです。

ラップトップコンピュータで入力するビジネスウーマン
写真=iStock.com/Tippapatt
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闇バイトで逮捕される若者が増え続けているワケ

オレオレ詐欺や還付金詐欺など特殊詐欺の検挙人員をみると、平成27年(2015年)の2506人以降、令和4年(2022年)の2469人まで、毎年2000人を超えている。

(図表1)「令和4年における特殊詐欺の認知・検挙状況等について(確定値版)」警察庁HPより

警察庁の調べによれば、令和4年に特殊詐欺などの犯罪に従事した少年(18歳以下)の検挙人員は、477人で、前年比より44人増えていた。この割合は全体の総検挙人員の19.3%だった。また、少年の検挙人員の73.2%が『受け子』(349人)であり、受け子で検挙された5人に1人が少年だったという。〈令和4年における特殊詐欺の認知・検挙状況等について(確定値版)〉より

少年が特殊詐欺に巻き込まれるのは、スマホで簡単にアクセス可能な「闇バイト」の存在が大きいといえる。本人は、一度きりの仕事で金銭的な困窮や急場をしのぎたいだけと考えているかもしれないが、実際は、闇バイト応募時に顔写真や身分証明書の写真を送るように犯罪組織から要求されるため、一度関与したら抜けられないシステムになっている。

「現金手渡しの仕事がいい」と話す若者

現行法の下では、18歳以上は「特定少年」に分類されるから、かつてのように試験観察など無く、成人処分となり刑罰を科される傾向にある。観察官は「(18歳以上の子は)逆送優先になっている(注)」と、少年法改正後の特殊詐欺の厳罰化傾向を話す。

注:家庭裁判所が、調査の結果、保護処分「保護観察、少年院送致」ではなく、懲役刑、罰金刑などの刑罰を科すことが相当と判断した場合には、事件を検察官に送致すること。逆送された少年を検察官が起訴した場合には刑事裁判となる。刑事裁判の結果、有罪判決となれば、成人同様に刑罰が科される。

この傾向は、2018年、筆者が法務省・福岡県更生保護就労支援事業所長に着任した頃から感じていた。

少年院に就労支援の面談に行き、仮退院後にどのような仕事に就きたいかと尋ねたところ、「現金手渡しの職場がいいです」という回答を複数の少年から得た。

怪訝に思った筆者が「昨今、現金手渡しの仕事というと、建設現場の仕事位しかないが、なぜ、手渡しじゃないとだめなのか」と尋ねたところ、「おれ、OS(オレオレ詐欺)だったんで、口座作れないんですよ」という。