儲け損ないほど、悔しいものはない

今回の金利上昇で、私は損失を出したわけではありません。

むしろ、アメリカ(米ドル)の金利上昇により、相変わらず超低金利の日本(円)との金利差から、ドル高円安が進み、為替差益を得ています。

にもかかわらず、「今預ければ、金利5%弱なのに」と、私が預けた預金金利0.5%の約10倍もの金利を見ては、「儲け損なった」との悔しさの方が、はるかに勝ってしまうのです。

この「損するよりも、儲け損ないの方が悔しい」との心理状況は、いくら投資経験を重ねても、なかなか克服できないものだと痛感しております。

そして、意味のないこと、むしろ心理的に有害と分かってはいても、こんなことも考えてしまいます。

今預ければ金利5%弱なのに、かつての金利0.5%で拘束されていることで、年間で差し引き4.5%(5%-0.5%)分の金利を儲け損ねている(※)、と。

※現在の金利を5%として計算

預入金額が3万ドルなので、儲け損ねた金利は1350ドル(3万ドル×4.5%)。

税引き後でも1000ドル以上なので、現在の為替レートで14万円以上。

このように、しっかり円換算もしてしまうことで、儲け損なった金額がよりリアルに感じられ、余計に悔しい思いをするという、残念な状況となっています。

そんな状況に、今さらながら、3年物の(相対的に高い)金利に惑わされずに、金利上昇リスクを考慮して、手堅く半年物や1年物で様子を見ておけばと、後悔しきりです。

もし3年物に預けるにしても、全額(3万ドル)を一気に預けるのではなく、金利上昇リスクを考慮して、たとえば1万ドルずつでも、様子を見ながら預けるべきだったと、ただ漫然と預けたことに、反省しきりです。

写真=iStock.com/yamasan
※写真はイメージです

米ドル預金と円預金、アメリカと日本との違い

さて、ここまでは、金利上昇による、米ドル定期預金での失敗談でした。

それでは、この失敗の教訓は、そのまま、円建て定期預金にも当てはまるのでしょうか?

すなわち、今回の米ドル定期預金での失敗を踏まえ、円建て定期預金でも、金利上昇リスクを考慮して、1年物以下の短いタイプで様子を見ておくのが賢明なのでしょうか?

いえ、米ドル預金と円預金とでは、その商品性が違います。

原則として中途解約ができない外貨定期預金と違って、円建て定期預金は中途解約が可能です。

もちろん、中途解約時に適用される金利は、契約時の金利に比べてグッと下がりますが、いざとなれば(金利が急激に上昇すれば)中途解約をして、より高金利の預金に預け替えることができます。

外貨定期預金のように、(相対的に低くなった)金利に拘束されないことは、大きな安心ですね。

そして、アメリカと日本とでは、金利への対応が違います。

株価や物価の動きに対し、敏感に金利を反応させるアメリカと違って、日本の場合、30年以上前のバブル崩壊後から続く超低金利政策は根深く、金利の扱いにはかなり慎重です。

冒頭でも触れたように、日本においても金利上昇の兆しが見え始めているとはいえ、今後、アメリカのようにグングン引き上げられるとは考えにくく、当面は、今の超低金利は続く可能性は高いでしょう。

そんな理由から、円預金であれば、3年物や5年物といった長期タイプであっても、選択肢に入れてもよいでしょう。

当然、預入期間が長いほど金利は高いので、より高い金利を得られる可能性が高まります。