株主総会がファンミーティングに近いほぼ日、良品計画

ほかにも「消費者=株主」という会社は、いろいろあります。石井食品の石井智康社長が株主ミーティングで参考にしている、ほぼ日もそうです。ほぼ日のおもな事業内容は「ほぼ日刊イトイ新聞」の運営とグッズ販売です。

そんなほぼ日の株主総会に、弊社の小笹俊一は3回行きましたが、株主優待として「ほぼ日手帳」をもらえたそうです。ほぼ日手帳は、ほぼ日のデザイン性や使い勝手のよさでファンも多く、ほぼ日の全売上げ59億円のうち32億円を占める主力商品です。

小笹曰く、イベントも充実しているそうです。2022年の株主総会では、最初に霊長類学者の山極壽一氏の講演がありました。続いて総会が始まり、さらに社員と株主が交流するコーナーという3部仕立てで、社員との交流を楽しみに来るファンも多いようです。

また無印良品を運営する良品計画も、株主総会がファンミーティングに近いものになっています。2022年は株主総会が終わると壇上から金井政明会長と堂前宣夫社長をはじめとする役員が降りてきて、株主と同じ目線で質疑応答に臨むのです。

写真=iStock.com/Ryosei Watanabe
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業績が下がっても安定配当を続ける

そこでは「このアイテムはおかしい」といった、消費者に近い目線の意見も多く出てきます。それに経営陣が丁寧に回答していました。明らかにファンを意識した株主総会で、このような株主総会なら株主になりたいと思う無印良品のファンも多いでしょう。

2023年2月には無印良品の銀座店で株主・ファンミーティングが開かれ、今後は全国の店舗でも行っていくそうです。ファンミーティングを通じて、株主も増やしたい思いもあるかもしれません。

良品計画の公式サイトでは、株主になると「株主ミーティングに参加できます」「配当が受け取れます」「株主優待が受けられます」などと謳っています。無印良品の愛用者には魅力的でしょう。

無印良品の業績は2021年から下がっていますが、配当は40円と変わっていません。2023年も40円の予定で、業績に関わらず安定しています。