株価が上がりやすいオーナー企業の社長の発想とは
この社長のように中小型株の会社の社長は、自らが自社の株式を大量に保有しながら、社長として経営に携わる「オーナー企業」というケースが少なくありません。「オーナー企業」は、創業者もしくはその一族が経営の実権を握っている企業を指しますが、オーナー企業の強みは、①会社の所有(株主)と、②会社の経営(経営者)の両方で影響力を発揮できることにあります。
たとえばソフトバンクグループの孫正義会長兼社長は、全株式の4分の1程度を保有していますのでオーナー社長であり、同社はオーナー企業ともいえます。
オーナー社長ゆえのメリットは、最大株主だからこそ、「自分の力で大きくできる」という自負を持っている人も多いでしょう。大胆な判断や素早い転換ができるのも、オーナー社長ならではの強みです。
孫氏の場合、「時価総額を拡大して資金調達し、さらに事業を拡大する」といったビジネスモデルを早い段階から意識していたように思います。銀行からの借り入れと違い、株で調達した資金は返済する必要がありません。それをいかに多く集めるか考えたとき、当然、時価総額を大きくしたほうがいいという発想になります。
この発想を持っているオーナー社長の会社の株は、上がりやすい傾向にあります。直接金融をうまく活用し、株で資金調達をしながら成長していこうと考えるからです。
最近の新規上場企業には上場をゴールと考えている社長も多い
ところが最近は、上場することをゴールと考える人も増えています。株式公開して100億円ぐらいの時価総額になれば、株を売ってそれで終わりにするといった人たちです。株主総会を欠席する社長が、その典型です。できるだけ早く逃げたいと考えていて、実際、欠席した株主総会のあとすぐに辞任し、別の人が社長になった企業もあります。
おそらく彼は持っていた株のかなりを売却したのでしょう。彼の退任に伴い、会社の株価は大きく下がりました。彼としては自分の懐にはお金が入ったから、それでいいわけです。
その意味では株価についての質問は、株式市場を活用し会社を大きくしたいのか、もしくは単に個人としてお金が欲しかっただけなのかを知ることにもなるのです。もちろんこの会社の場合、株主総会のあと、私はすぐに株を売却しました。