アメリカ連邦政府は職員にアプリ削除を指示済み
TikTokをめぐっては、中国政府が求める任意のユーザー情報が中国共産党に渡される恐れがあるとして、アメリカ国内で規制する動きが広がっている。
懸念される最大の理由は、中国企業に情報開示や機微な情報の越境移転を制限することを義務付ける「国家情報法」(2017年施行)だ。第7条で「いかなる組織及び国民も、法に基づき国家情報活動に対する支持、援助及び協力を行い、知り得た国家情報活動についての秘密を守らなければならない。国は、国家情報活動に対し支持、援助及び協力を行う個人及び組織を保護する」と定めている。
また2014年の反スパイ法では、状況調査、証拠収集の際に「ありのままに提供し、拒絶してはならない」と協力義務を規定している。だから、あらゆる中国企業から、中国共産党にデータ流出のリスクがあると懸念されるわけだ。
アメリカ連邦政府は公用端末でのアプリ利用をすでに禁止。2月末、職員に対してアプリの削除を命じた。
こうした動きは州政府にも広がりつつある。西部モンタナ州では昨年12月、州政府の端末でのアプリ利用を禁止。5月には、個人端末での利用を禁止する法律が成立した。BBCによると、アメリカでTikTokの規制対象が一般利用者に広がるのは初めてだという。
米インサイダーは、ウォール・ストリート・ジャーナル紙の報道を受け、TikTokにさらなる不安要因が加わると指摘した。インサイダーの取材にByteDance社は「TikTokを使う人々のプライバシーとセキュリティーを守ることは、当社の最優先事項のひとつです」と述べているが、実態と乖離があるようにも思われる。