買うのを諦めるのは「新たな体験」を諦めること

ある商品を欲しいと思ったとき、みなさんはどのように行動するでしょうか。

基本的に、「すぐに買う人」「買うかどうか迷ってから買う人」「迷った挙げ句買わない人」の3つのタイプに大別できそうです。

趣味の品物か、それとも日常品なのか。また商品の価格によっても、買うときの行動は異なってきます。

偶然立ち寄ったセレクトショップで、素敵なジャケットを見つけ、直感で「欲しい」と思い値札を見たら、意外に高かった、という経験は誰しもあると思います。

そんな時、「買っても着る機会がないかもしれない」とか、「かなり細身だから、体形に合わなくなるかもしれない」などと逡巡してしまうと、どんどん心にブレーキをかけてしまいます。

ジャケットを諦めた場合、「ジャケットを買えば得られたはずの新たな体験」も、同時に諦めているのです。

そのジャケットがあれば、今まで気後れしていた場所にだって行けたかもしれません。

思い切って買っていれば、新しい体験が得られ、それが前頭葉への恰好の刺激になったはずなのです。

我慢からは何も得られない

買い物による前頭葉への刺激は、買った瞬間だけ得られるわけではありません。ジャケットを着るたびに「喜び」や「感動」があれば、そのつど前頭葉が刺激されているはずです。

洋服でもカメラでも自動車でも同じです。その品物を気に入っていればいるほど、使用することで大きな喜びが得られるはずです。

脳を老化させないためには、「喜び」や「感動」が欠かせません。こうした感情が前頭葉を強く刺激するのです。

和田秀樹『シン・老人力』(小学館)

しかし、値段が高いとか、体型にあわないと言って、欲求にブレーキをかけ、欲しいものを買わずにいると、好奇心にもブレーキがかかってしまいます。

我慢からは何も得られません。単に、「喜び」や「感動」のない、代わり映えのしない日常が続くことになります。

脳は欲求不満のままです。前頭葉が刺激されることもありません。むしろ、老化に向けて、さらにアクセルを踏むことになります。

現役の消費者であり続ける意味は、こうしたところにあります。

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