最後までオデッセイらしさを守り抜く
実際に5代目オデッセイに乗ってみたことがある。以前よりミニバンらしいスタイルとなっているものの、低重心構造が生むハンドリングや走りの良さは健在であった。
確かに、アルファードなどの背の高いミニバンと比べれば室内高は低い。しかし、実際に数字を比べてみると、予想外の結果となった。
主要な上級ミニバンの全高を見てみると、アルファードが1950mm、エルグランドが1815mm、オデッセイが1695mmの順となる。
しかし室内高では、アルファードが1400mm、オデッセイが1325mm、エルグランドが1300mmと逆転するのだ。
つまり、外観から受ける印象で、室内高が低く感じられただけで、ミニバンとしては、十分な空間を確保できていたことが分かる。
オデッセイは度重なる低床化を図ることで、独自の武器である低床・低全高ミニバンの魅力を最後まで守り抜いたのだ。
復活したオデッセイに求めること
今冬に復活する改良型オデッセイだが、生産工場は中国となることにも注目が集まる。これまでもホンダは、米国や英国、タイといったモデルの需要の高い地域から日本向けの乗用車を輸入していたケースがあり、特に珍しいことではない。
あまり知られていないが、最新輸入車でも、テスラ「モデル3」やボルボ「S90」、フランスのDS「DS 9」は、現在発売される日本向けモデルが中国製となっている。特筆すべきは、ボルボやDSの中国生産車は、ブランドのフラッグシップセダンであること。つまり、顧客を満足させる品質の高級車を生産できる体制がすでに中国で構築されているというわけだ。
オデッセイも中国ではホンダブランドのフラッグシップミニバンとなっており、日本にはない4人乗りのリムジン仕様が用意されているほどだ。
日本での再登場での成功を左右するのは、新たな価値を提供できるかという点に尽きる。初代の登場から20年を迎えたオデッセイが、復活を皮切りにホンダ独自の上級ミニバンの将来に期待を膨らませるものであって欲しいと願うばかりだ。