次回は人生のパートナーに出会えるかもしれない

もちろん、たやすいことだとは言わない。

離婚して一人暮らしを始めた僕が、誰かとまたデートを始めるまでには1年以上かかった。そして始めたら始めたで、ちょっぴりつながりを感じたり、一度キスをしたりした相手からメールに返事がなかったりすると、心底へこんだ。僕はぼろぼろだったし、傷ついていた。拒絶されて、すっかり心が折れた。

そんな頃、廊下を隔てた向かい側の部屋に住んでいる、ゲイの若者と友達になった。彼の部屋には常に男友達が出入りしていた。「返事が来なくてめげてるんだ」と話すと、彼はいつも満面の笑みをたたえて同じことを言った。「次ーーーーっ!」。当時は辛辣しんらつな言葉に聞こえたけど、彼は未来にたどり着くのが、僕よりうまかっただけなのかもしれない。

僕は1年間、毎晩一つブログ記事を書いた。

昼間は会社で働いて、帰り道に夕食をテイクアウトし、真夜中過ぎに寝るまでネットにつながっていた。悲しくてふらふらで、まだ気持ちの整理がつかず、一人暮らしだから「スイッチをオフにしろ」と言ってくれる人もいない。

初デートばかり重ねて、まるでらちが明かなかった。僕は失敗に失敗を重ねた。デート中の相手を、元妻の名前で呼んだ。何回も。何人もの人を。ゆったりとした夢のようなデートができる日を、僕は待ち続けた。長い会話をし、訳知り顔で微笑んで、ウェイトレスが来るたびに言うのだ。「ごめん、まだメニュー見てなかった!」

写真=iStock.com/JackF
※写真はイメージです

でも、そんなことは一度も起こらなかった。

恋はデジャ・ブ』を地で行っている気がした。男が祭りの日をエンドレスに繰り返す羽目になる、あの映画だ。握手して、ハグして、ワインとフライドポテトに40ドルを払う……その繰り返しだ。

訪れた「その日」

また1年が経ったけど、僕は同じことをしていた。

毎晩ブログを書き、誰かを紹介され、友達の友達に会い、ネットで知り合った人たちと飲みにいく。ある晩、廊下の先に住んでいる友達のリタが来て、「写真展に行かない?」と言った。通りを隔てた向かい側の建物で開催されているという。リタはしょっちゅう部屋に来ては、「ちょっと飲まない?」「何か食べない?」なんて誘ってくれるのだが、このときは友達を連れてきた。

「こんにちは。レスリーよ」。

ハッとするほど美しい、茶色の髪をした女性が、太陽みたいに自信たっぷりに微笑んで、さっと手を差し出した。「あっ、こ、こんにちは。僕は、その、ニールです」となんとか応じた。

通りを渡って、素晴らしい写真展を見たあと、フレンチ・ビストロでグラスワインとフライドポテトを頼んだ。

「ニールはブロガーなの」とリタが言った。「彼のブログ、聞いたことあるんじゃない? ちょっと前からやってるし、国内でも指折りの人気ブログだから。『The Book of (Even More) Awesome』っていう本になるんだって」

「ブログって何?」とレスリーが聞いた。

僕は、彼女から目が離せなくなった。

その晩のうちに、リタが僕ら2人にメールで、その日行った写真展のカメラマンのリンクを送ってくれた。そこで僕はレスリーにメールして、デートに誘った。「火曜の夜10時はどうかな?」とメールした。「あるいは、水曜の夜9時はどう?」

「ごめんなさい」と返事がきた。「私、夜は8時に寝るの。幼稚園の先生をしているから」「じゃあ、日曜の朝食はどう?」と僕は聞いた。

「いいね」と返事がきた。

こうして、デートの予定が決まった。