過去を含めて、未来はつくられる

遠い、遠い、遠い昔、ちっぽけな単細胞生物が地球に現れた。

【図表】進化の概念図
イラスト=寺門朋代

たとえば、アメーバ。(図表1の)右側のイラストのように。

そのあと、何が起こったのかって? 

3億年後、こうした単細胞生物が多細胞生物に進化した。(図表1の)左側のイラストのように。

そのあと、何が起こったと思う? その3億年後、こうした多細胞生物が植物や動物に進化した。僕らのように!

この話のどこが面白いか、わかってもらえるだろうか?

単細胞生物が、姿を消さなかったことだ。彼らは絶滅もせず、時代遅れにもならなかった。植物にも動物にも僕らの身体にも、何億という単細胞生物がいる。僕らに寄生し、僕らの体内で暮らしている。僕らの身体が彼らの住処すみかなのだ。

では、多細胞生物は?

重要なことを言うなら、彼らは単細胞生物でできている。そして、もう一つ重要なことを言うなら、彼らも絶滅するどころか、さらに新しくさらに大きな全体の一部になった。

木々の中に、多細胞生物がいる。あなたの中にも、僕の中にも、オプラ・ウィンフリーの中にも。

何が言いたいのかって?

僕らは「進化」を、過去を「破壊して取って代わる」ものだと思いがちだが、実は「超越して含む」ことなのだ。

過去は吸収され、未来を創造している。

今のあなたをつくるもの

作家のケン・ウィルバーは、この考えを『万物の歴史』(春秋社)をはじめとした多くの本で提唱している。

都市は農場を破壊するのではなく、農業をより効率的かつ生産的な形で取り込んだ。映画は写真に取って代わったわけではないし、トリップホップはヒップホップに取って代わったのではない。僕らも、ゴリラと入れ替わったわけではない。人間の合理的思考は、感情に取って代わったのではなく、感情を吸収して新たに進化した「理性の脳」が生まれたのだ。

真の成長、真の進化は、破壊からは生まれない。それは、先に生じたものを取り込んで、さらに大きな全体に組み込むことから生まれる。図書館を燃やしたら何が生まれるだろう? 灰の山だ。では、本を読んで、自分の考えを発展させたら? たいていの場合、素晴らしい考えが生まれる。町を破壊したらどうなるだろう? 灰の山ができる。では、他国のテクノロジーを研究し、真似をして、そこから学んだら何が生まれる? 未来のあらゆるテクノロジーが生まれる。

GPSがなければ、配車サービスもない。検索がなければ、iPhoneの音声アシスタント「Siri」も存在しない。

あなたの過去のすべてがなければ、今のあなたはいない。あなたが今経験しているすべてがなければ、明日のあなたもいないのだ。