足→座高→足の順に伸びてから止まる

図表1「身長と座高の伸びの関係」を見てください。これは私が自分の子ども(女児)の身長と座高を5年間、毎日、朝と夜の2回、測り続けた結果の一部です。身長と座高の関係がよくわかるように、左側に身長軸、右側に座高軸をとって、目盛の間隔を同じにして比較しています。

小林正子『子どもの異変は「成長曲線」でわかる』(小学館新書)より
身長の伸びは、11歳半頃からスパートに入り、○の部分で座高が身長の伸びと一致。13歳頃を過ぎると座高が緩やかな伸びになり、足の伸びが身長を伸ばしていることがわかります。

まず注目していただきたいのは、身長も座高も、計測値が上と下の2本の線に分かれているということです。点線が朝の測定値で、実線が夜の測定値です。身長は朝高く、夜低くなります。起きてすぐに身長と座高は測定していますが、朝と夜の値がこんなに違うというのは驚きですね。こうした身長に見られる1日の変化を日内変動といいますが、それはこの図から、座高の変化に起因していることがわかります。

ここで最も注目していただきたいのは、身長と座高の伸びの関係です。この子どもは、身長スパートがあまりはっきりとは見られませんでした。しかし、11歳半頃からスパートに入ったと思われます。そのときの座高は身長の伸びに比べて緩やかな伸びです。これはつまり足(下肢長)が伸びているのです。やがて○で囲んだ部分となりますが、これは身長の伸びと座高の伸びがぴったり一致しています。座高の伸びが身長の伸びそのもので、足は伸びていないということになります。

身長と座高の伸びがシンクロする期間は3~4カ月です。その後は座高の伸びが緩やかになりますが、まだ身長は伸びています。すなわち足の伸びが身長に寄与しているのです。

今の子どもは胴長短足化が進んでいる

こうして見ると、思春期の身長スパートにおいて、からだの上体と下体では伸びる時期が異なることがよくわかります。このように毎日測ったデータは世界でも少ないですが、ある程度頻繁に測定されたデータからも同じような結果が示されています。

結論として、身長スパートは、まず足が伸び、次いで座高が伸び、最後にまた足が伸びて、やがて止まるといえるでしょう。もちろんこの順序にも例外はありますが、最後の足の伸びる期間が非常に大切、ということです。ところが近年は、最後の足が伸びるはずの時期に「足が伸びない」現象が顕著になっています。

図表2をご覧ください。男女共30年前の親世代より「身長に占める足の長さの割合」が減少しているのです。実際の数値としては、男子17歳で約1cm縮んでいます。最後の足の伸びが見られなくなれば、最終身長に影響します。

小林正子『子どもの異変は「成長曲線」でわかる』(小学館新書)より