これからの時期、弁当が食中毒の原因となることが多い。科学ジャーナリストの松永和紀さんは「特に自家製の冷凍食品には注意が必要だ。市販の冷凍食品と同等に考えてはいけない。一般家庭の台所は細菌に汚染されているため、弁当箱に細菌を持ち込んでしまうリスクがある」という――。

「自家製冷凍食品」は要注意

これからの暑い季節、細菌による食中毒が多く発生します。作ってから時間を置いて食べるお弁当の衛生管理にはとくに、気を使います。そんなとき、自然解凍で食べられる冷凍食品は力強い味方。冷凍食品メーカー各社が販売し、保冷剤代わりに弁当に入れる人も少なくないでしょう。

でも、それを真似して、「自家製冷凍食品」を弁当箱にそのまま入れるのはダメ。食中毒の原因となります。レシピサイトや個人のブログなどで、安くて賢いテクニックとして紹介されていますが、信じてはいけません。あなたの家の台所は、工場に比べてはるかに汚いのです。細菌の性質をよく知り、夏に打ち克つほんものの“賢い弁当術”を身につけましょう。

市販品は、厳しく衛生管理されている

市販の自然解凍で食べられる弁当用冷凍食品と自家製の大きな違いは、細菌の数です。市販品は、社団法人日本冷凍食品協会が2007年に定めた「一般家庭向け弁当用自然解凍調理冷凍食品等の製造・販売に係わる取扱要領」と「保存試験実施要領」で、厳しい衛生管理を定められています。

表面に自然解凍で食べられることをうたう冷凍食品。厳しい取扱要領を守っている
筆者撮影
表面に自然解凍で食べられることをうたう冷凍食品。厳しい取扱要領を守っている

弁当に入れて時間がたった後に食べることを想定し、35度で9時間保存した後の細菌数が、冷凍食品1gあたり10万個以下、大腸菌群は食品0.01gあたり陰性、つまり検出されない、という条件をクリアしないといけません。

ピンとこないかもしれませんが、これはものすごい自主基準です。