自家製に食中毒のリスク

家庭の台所では、生の肉や魚、野菜などさまざまな食品を調理します。それらは自然のものなので細菌が一定数いて当たり前。工場のような細菌を防ぐ装置もなく、洗うときの水はねなども起こり、台所はどうしても細菌に汚染されます。

そんな場所で、菌が付いているヒトが調理をするのです。どんなに清潔そうに見えても、家庭での料理は設備のよい工場の食品に比べ汚いのです。でも、家庭では調理からあまり長い時間を経ずに食べることにより細菌は増殖しておらず、食中毒リスクは抑えられます。

台所で調理したものを冷凍する自家製冷凍食品も、加熱調理をした段階では殺菌できても、容器に小分けして冷凍する段階で細菌が付いてしまい、細菌汚染を避けられません。冷凍しても細菌は死にません。解凍され温度が上がると増殖が始まります。生ぬるい弁当箱の中で食べるまでの数時間の間に食中毒菌が大増殖していたら……これは危険です。

微生物学の専門家で食品安全委員会委員長の山本茂貴先生は「家庭での調理による食中毒は届け出が少ないだけで、実際には把握している以上の被害が出ていると推定されています。家庭でも十分に気をつけてほしい」と話します。

冷凍食品のパッケージの表示に注意

なお、冷凍食品の中には、加熱して食べることを前提とした冷凍食品も数多くあり、自然解凍で食べられる弁当用冷凍食品よりは少し緩いルールで作られているものが多くなっています。食べる前にきちんと加熱することでおいしく、安全に食べられる食品です。

したがって、加熱が必要な冷凍食品も、弁当にそのまま入れてはだめ。加熱調理用の冷凍しゅうまいや唐揚げをポンと弁当に入れていませんか? 冷凍食品のパッケージには、加熱が必要なのか自然解凍で食べられるか、明記されていますので、表示をよく読んで、加熱が必要な場合は表示されている方法で火を通してから弁当に詰めましょう。

【図表1】冷凍食品の一括表示欄の例
筆者提供
自然解凍で食べられる冷凍食品は大抵、表面に大きく「自然解凍OK」「自然解凍調理が可能です」「自然解凍でもおいしく召し上がれます」などと表示されている。裏面や側面の一括表示欄の「加熱調理の必要性」の項目を見ると、加熱せず自然解凍で食べられるかどうか判断できる