世界経済は不安材料山積

一方、冒頭にも述べたように世界経済には大きな不安材料があります。

まず米国です。米国では、現在は債務上限の引き上げ問題が大きくクローズアップされています。現状、名目GDPの125%程度の政府債務を持っていますが、野党・共和党が上限引き上げに強く反対しているのです。政治の駆け引きに使われています。

毎年のことなので、どこかで決着するとは思いますが、債券市場などに思わぬ余波が起こらないことを願うばかりです。

さらには、金融危機懸念がくすぶっています。急激な金利上昇などが原因で、シリコンバレーバンクの破綻に端を発した今回の金融不安ですが、中堅行が相次いで破綻し、大手行に買収させるなどして金融当局が抑え込みに躍起になっています。皆さんも覚えておられると思いますが、金融不安が欧州に飛び火し、スイス大手のクレディスイスが危機に陥り、同じく大手のUBSと統合することで何とか危機を回避しています。

今のところ日本の金融機関は大丈夫と思われますが、ネットで情報が行き交い、かつネットバンキングが進んだ現状では、いつ、どこで金融危機が起こるか分からない「21世紀型の金融危機」にも注意が必要で、その懸念も広がっています。

また、ウクライナ情勢に大きく関係して、欧州では物価の高騰が続いています。戦争の終結もなかなか見通せない中での欧州経済の先行きにも懸念材料は少なくありません。

世界の経済情勢には不安が大きく、日本経済もまだまだ予断を許さないところはありますが、しばらくは回復傾向でそれが長く続くことを心より期待しています。

関連記事
パンデミックも物価高も最小限に抑えた…「実は日本が一番効率的だった」と世界中が認め始めたワケ
「日本の銀行は大丈夫か」1億円以上持つお金持ちは、すでにメガバンクに預金を移し始めている
日本にしかない"商機"を見出している…伝説の投資家バフェットが今、「5大商社」の株を買い増す本当の狙い
東大の経済学者でも「日本円の紙くず化」は避けられない…日銀の植田総裁が"異次元緩和"をやめられない理由
だれが何をやっても日本円は紙くずになってしまう…日銀総裁が「東大の経済学者」となった本当の理由