生き方・処世術
私は若い頃から年寄り臭い本を読んできました。30歳の頃に米国留学から帰国し、子供が生まれ、仕事も順調。でも子供ができて生物としての役割を一つ終え、会社は自分がいなくても回っていく。では自分は何のために生きているのか。そう悩むようになり、「生き方・処世術」分野の本を読み漁り始めたのです。
私自身の座右の書になっているのは『道をひらく』で、自宅の勉強机にもう20年以上置いてあります。どういう生き方をすればいいのかと迷ったとき、手を伸ばすのです。若い頃は『菜根譚』や『論語の活学』をよく読みました。人間は信念を持たなければ経営などできませんが、自分勝手な信念では周囲が迷惑するだけです。では何が正しい信念か。何千年も読み継がれてきた書物には、何らかの真理があるはずです。こうした古典を読み、自分のバックボーンにしていくことは非常に大切な営みだと思います。
師範学校の生徒にどう生きるべきかを説いた『修身教授録』も、心に沁みる素晴らしい本です。世界中でベストセラーになったデール・カーネギーの『道は開ける』も生き方の本質を突いており、お勧めできます。
松下幸之助著、PHP文庫、1968
小宮氏の座右の書。ビジネスマン以前に人間としてどう生きるかのヒントが。
『菜根譚』
洪自誠著、ディスカヴァー21、2007
中国・明代に書かれた処世訓。日常をどう生きるべきかの示唆が示されている。
『論語の活学』
安岡正篤著、プレジデント社、1987
東洋哲学の大家が書いた、論語に学ぶ人間の普遍的なバックボーンについての本。
『修身教授録』
森信三著、致知出版社、復刻再編集版、2001
大阪・天王寺師範学校の教師であった著者が、生徒たちに生き方を教えた本。
『道は開ける』
デール・カーネギー著、創元社、新装版、1999
人間の本質を捉えた名著。同じ著者の『人を動かす』とセットで読みたい。