日常走行で気が付いたこと
今回は、とある取材の移動に新型プリウスを利用。東京から大阪までを往復し、約1000kmのロングドライブを行った。テスト車は、最上級グレードの「プリウスZ」E-Four(ハイブリッド用4WD)だ。この移動の際、筆者を含め、2人の大柄な男性が乗車しており、より現実的な状態でのテストとなった。
街中でのプリウスの印象は、かなり静かで乗り心地も良好だった。静粛性の秘密は、ガラスなどの遮音がしっかりとしていることに加え、積極的にモーターで走行するため。
加速時には必要に応じてエンジンが始動するが、その音も決して大きくはない。バッテリー残量があれば、ほとんどEV走行となる。実際に、単距離を移動時のメーター表示では、走行の約80%がEVモードであった。
住宅地などを含む日常走行で弱点だと思ったのは、ドライバーから車両の先端がよく見えないことだ。前方視界は良いのだが、シャープな先端がはっきりと見えない。これでは、小柄な人は、よりつらいだろう。ただ超音波センサーなどで障害物を知ることはできるし、前方カメラが搭載される仕様もある。
高速に乗ってわかった弱点
高速道路では、また異なる点が見えてきた。最新モデルだけに、ロングドライブでのドライバーの疲労軽減を図る運転支援機能はとても優秀だった。
前走車の追従走行と車線内維持支援機能はもちろん、セットした車速を上限に、同一車線内を加減速しながら走行するアシストも行ってくれる。ドライバーは、前方の監視とステアリング保持をしていればよい。システムがカバーできない領域は、支援機能がオフとなるが、その時間は全体から見れば、わずかなものだ。
しかし、高速走行では、プリウスの静粛性にも限度があることも感じた。高速走行だと、エンジン走行領域が増えるため、走行中の騒音も高まる。風切り音とタイヤによるロードノイズも、より大きくなる。高速領域でのモーター走行時には、エンジン音に消されていた音も聞こえるようになるため、より目立つ。そのノイズの侵入を抑えるために、床面の遮音対策をもう少し強化してほしいというのが本音だ。
ただ静粛性を高めることは重量増につながるため、燃費には不利に働く。燃費も大切なプリウスでは、そのバランスが難しい。スタイルに起因する問題もある。全高が低いため、車内で走行音がこもりやすいのだ。
特に高速域での後席は、前席と話すのがつかれると感じるほどだった。また高速域だと乗り心地の硬さも気になったが、これは19インチ仕様であることも影響しており、高速域での乗り心地も重視するならば、17インチ仕様の方が良さそうだ。