毎朝自動的に行われる鉄板ルーティン

実際に睡眠の専門家であるニール・ロビンソンによれば、疲れたからもう少し眠るといってアラームを切り、寝直して数分後に起きる場合、睡眠サイクルがまた始まったところを急に中断されることになり、かえって一日中疲労感を覚えることもあるという。

疲れがたまっていて起きられないときは、「あとで休めるよ」と自分にやさしく言い聞かせる。

「通勤バスで眠れる」「今起きて後回しにしてきたことを片付けて、週末にゆっくり休めばいい」「朝に運動しておけば、夜に友達に会う時間を捻出できる」などと考えるのだ。

そんなふうに5秒だけ耐え抜けばいい。5、4、3、2、1、起きよう!

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このように、短いながらもつらい戦いに勝利したら、そのまま洗面所に向かう。歯を磨いて洗顔をし、顔にスキンローションを塗る。台所に行って温かいお茶を準備してから部屋に戻り、そのときの気分に合う音楽を聴く。

この一連の動作は全身を眠りから覚ます方法であり、自分自身に今日一日が始まったことを教える儀式だ。

アラームが鳴った時点から机の前に座るまで、このルーティンは毎朝自動的に行われる。時折、自分がこの行動をしたのかどうか定かではないことすらある。それほど無意識的に、体に染みついてしまっているのだ。

明け方起床を楽しめる人と断念する人の違い

朝4時30分に起きる日常をSNSなどで共有すると、明け方起床に失敗したとがっかりする人たちを見かける。

アラームを念入りに設定して前日の晩は早々にベッドに入ったのに、なんでこんなに起きるのがつらいんだろう? 何回か試した結果、明け方起床に成功はしたものの、午後になるとすごく眠くて三日坊主で終わるケースも多い。

もちろん最初から何の問題もなく、明け方に起きても眠気を感じず爽快な一日を送れる人もいる。朝型人間と夜型人間を決定する遺伝子があるという説もあるが、私が思うに、明け方起床に成功する人と失敗する人のいちばん大きな違いは「何のために起きるのか」にある。

明け方起床を容易に成功させる人は、朝早く起きることで手にした時間に夢を叶えられること、または追加で自由な時間、すなわちボーナスタイムを確保したことを大きなご褒美と考えている。

そして日々少しずつ変化する自分自身を発見しながら達成感を味わい、今より明るい未来に期待する思いで、明け方起床を継続したいという情熱と意欲を高めている。

反面、明け方起床が苦手な人は、特に早起きすることにメリットを見出せないのだ。その時間にぐっすり寝るほうが、起きて何かを始めることよりもずっと大きな意味があると考えている(この考え方自体が問題だと言っているわけではない)。

毎日明け方起床を実践する私でも、アラームが鳴るあの短い時間、早く起きて一日を始めることと、甘い眠りを続けることの狭間で大いに悩む。

そんなときは、今起きなければ失うもの、起床すれば得られる成果や、起きるのがつらいこの瞬間をどうやったら取り返せるのかを考えればいい。

例えば「今起きて原稿を書かなければ、退勤後に休む暇はない」「今起きて運動すれば、その分、夜にカロリーを気にせず思いっきりフライドチキンを食べられる」、そして「眠るのは通勤バスで埋め合わせできる」と思うようにするのだ。

また、早起きに成功した日の晩は、その日達成できた目標を確認する。明け方起床に慣れてからは、朝得られる時間自体がご褒美だと感じられるようになる。