丸暗記・パターン学習ではふるい落とされる

中堅校の算数入試は学校によって傾向が違うため、一言では言い表せない。偏差値的にはそこまで上ではないけれど、算数だけは難しい問題を途中で入れてくる学校もあり、各学校の対策が必要になる。ただ、中堅上位校において共通して言えるのは、どの学校も塾で習ったような定型問題がそのまま出ることはなく、ひとひねりがあり、応用力が求められていることだ。

ところが大手進学塾では、どうやったら鮮やかに早く解けるかの指導に走りがちだ。そういう授業を受け続けていると、何でも公式化したがる子が出てくる。近年、特にそういう子が増えてきているように感じる。しかし、そういう子は塾で学習した問題は素早く解けるが、問題の条件が少し変わっただけで、たちまち分からなくなってしまう。こうした丸暗記・パターン学習で受験勉強をしてきた子をふるい落とすために、近年では中堅上位校でも解くプロセスを重視した問題が増えている。

例えば「場合の数」は和の法則と積の法則を塾で習うが、実際の入試問題ではあえて公式化できないものを出題し、その場で手を動かしながら考えさせる。一つひとつ書き出すというのは骨の折れる作業だが、それを面倒くさがらずにやることで、規則性に気づき、自分の手と頭を使って答えを導き出す。こうした問題を出す学校側の意図は、解くプロセスを重視している点だ。それはすなわち、「あなたはこれまで自分の手と頭を使って考えながら勉強をしてきましたか?」「ちゃんとこの公式で解く意味を理解して使ってきましたか?」と問うているともいえる。

理科・社会では資料を読みながら考える問題が増えている

近年、中学受験の入試問題は非常に長文化している。また、理科・社会入試では表やグラフなどの資料の情報を読み取りながら、考えさせる問題が増えている。つまり、読解力が重視されているのだ。こうした問題を前にしたとき、「こんなに長い文章を読んでいたら時間がなくなってしまうよ……、もうダメだ」と怖じ気づいてしまうような子は、その時点で負けだ。まずは、「何が書いてあるのだろう?」と興味を持って読み進められるかが、勝敗を決める。

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そもそも、理科や社会といった科目は、身の回りのさまざまな現象を不思議がったり、世の中で起きていることに関心を持ったりと、好奇心の有無が重要になる。こうした長い文章を出してくるのは、その素地を見ているように感じる。