静岡県が急に「河川法」を盾にし始めた

筆者は自身が運営するウェブサイト「静岡経済新聞」で2018年11月7日に「越すに越されぬ大井川」というタイトルでこの権限を紹介した。すると県庁内は大騒ぎとなった。

19日の定例会見で、川勝知事は「河川法の問題をクリアしないとJR東海とは基本協定を結ばない」と、わざわざ「河川法」を盾にすることを宣言した。そのときから、“リニア騒動”は始まった。

筆者が「静岡県の権限」を取材したのは、川勝知事がJR東海との交渉で静岡県にとって有利な“落としどころ”を目指していると考えていたためだ。だが、川勝知事は非科学的な懸念やごまかしを織り交ぜて県民やJR東海を困惑させ、不当に「リニア騒動」を長引かせようとしている。

それ以来、川勝知事の無理難題にJR東海はなすすべもないのだ。同じ国交省なのに、リニア計画推進の鉄道局(旧運輸省)と河川法を所管する河川局(旧建設省)にお互いの協力関係はない。

リニアトンネルが建設される地下約400メートル超の世界が本当に河川区域内となるのか筆者には疑問だ。

「リニア」がこの国の未来を背負った重要な問題であるならば、いまからでも遅くない。もはや局間連携が取れない国交省に任せている段階ではない。政治の重要課題として政府が乗り出すべきではないだろうか。

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