嘘を検出するために効果的な方法は「親切にすること」

カナダとイギリスは強制的で非倫理的であるとしてリード式の取り調べを廃止したが、アメリカの警察では今日でも主流となっている方法だ。困ったことに、科学的な妥当性はない。ポーツマス大学教授で嘘検出法の第一人者であるアルダート・ヴレイは、リード式が手がかりとしているものでは、嘘を見破れないとしている。リード式の訓練を受けると、取調官の嘘発見能力はむしろ低下する。

それでは、本物の科学に基づいて嘘を検出する方法はないのだろうか? じつはある。

2009年、アメリカで、尋問の最善の実践法を新たに開発するために、「重要拘束者尋問グループ(HIG)」が結成された。1500万ドル以上の資金が投じられ、2016年までに第一線の心理学者による100を越える研究プロジェクトが実施された。

その結果、効果があるとして推奨されたのは、過去5000年に人間が嘘を見抜く試みに用いたことのない、とても繊細で洗練された方法だ。それは、「親切にすること」だった。

けっして「悪い警官」になってはいけない。「親切なジャーナリスト」になろう。相手から好かれなければならない。心を開いてもらって、たくさん話してもらう。そうやって、相手に嘘を露呈するようなミスを犯させる。

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オープンクエスチョンで相手に喋り続けさせる

では最初にすべきことは? ジャーナリストは記事を書く前に下調べをする。あなたも同じことをしよう。疑惑をめぐる相手との会話で、核心に迫れる情報を多く持っていればいるほど、あなたの嘘検出器の精度が上がる。さらに重要なことに、後述の強力なテクニックには、背景情報を必要とするものがあるので、このステップは何としても欠かせない。

次に「親切な」という部分。HIGの報告によると、「悪い警官」は効果的でなく、「良い警官」が成果を上げるとされている。誰もが、敬意を持って扱われたいと思っている。そして、人は丁寧に扱われると、話す可能性が高くなる。それから、相手の嘘を責めてはいけない。協力を得にくくなることが複数の研究でわかっている。責めるのではなく、好奇心を示そう。

弁護士は顧客に嘘をつくように言うだろうか? そんなことはない。正直に話すように言うだろうか? それも違う。「黙っていろ」と言うのだ。親切なジャーナリストの皆さん、あなたがたは彼らに、できるだけたくさん話させなければならない。

そのために、ひと言で答えられる質問ではなく、「WHAT」や「HOW」で始まる自由回答式の質問をたくさんしよう。それから親しみやすい態度で、相手に喋り続けさせるのに必要最低限な言葉のみ挟むようにする。