嘘をついてバレなければ、どんな嘘が通用するかわかってしまう
独白を続けさせることで、相手に「コントロール感」を持たせることができる。それによって彼らはリラックスする。より多くの情報を得て評価をくだせるように、相手に話し続けてもらう必要がある。彼らが話すことのすべてが、確認すべき新事実であり、これまでとは矛盾する可能性のある新しい話だ。
だからこそ、弁護士は彼らに黙っていろと言うのだ。あなたはその反対のことをしなければならない。
相手の話にすぐに異議を唱えると、黙ってしまう可能性があるだけでなく、話を変え始めるかもしれない。より巧妙な嘘をつく手助けをしてはいけない。相手にすべてをさらけ出してもらい、自分の首を絞めて欲しいのだ。
信用ならない人間を扱うときの問題点がここにある――相手は良いフィードバックを得られ、こちらは得られない。もし嘘をついてバレなければ、どんな嘘が通用するかがわかる。嘘をついてバレれば、通用しない嘘がわかる。
一方、こちらは、相手が正直に話しているかどうかフィードバックを得られない状況がほとんどだ。つまり、嘘つきはつねに改善するが、あなたはそうではない。結果、相手に有利になってしまう。彼らの能力向上に手を貸してはいけない。
「嘘つきは相手の目を見ない」は大間違い
嘘検出法のエキスパート、ヴレイはこう指摘する。
「これまで使用されてきた、非言語的および言語的行動の分析に基づく嘘発見ツールは、いずれも正確と言うにはほど遠い。はっきり言って、“嘘つきは、こちらの目を見ない”という一般的な神話すら大間違いだ」
HIGの研究レビューでも、視線回避は、信頼性のある指標として証明されていない。神話の否定にこれでもまだ物足りないとすれば、収監されたサイコパスの対人行動に関する1978年の研究がある。そこで明らかになった事実は、なんとサイコパスは、非サイコパスより頻繁に人の目を見るというものだった。
相手の話に惑わされると、その人物を正確に評価することはほぼ不可能だ。だが、真実を探りだせる戦略が存在する。研究によると、嘘を見破る能力にはほとんど個人差がないが、嘘をつく能力は人によって大差がある。
だから、人の心を読むときと同様に、親切なジャーナリスト作戦は、あなたの嘘発見能力を高めることにではなく、相手の嘘をつく能力を低下させることに重点的に取り組む。では、どうやるのか? HIGレポートにある二つの強力なテクニックを駆使して、嘘つきをまんまと燻りだそう。