子どもとかばん一つでやってくることができる家

共用キッチンでは家庭ごとに調味料や食品を置く棚やゴミ箱、水切りカゴなどがあり、冷蔵庫もそれぞれの家庭ごとに仕切られている。共用の食器や鍋、調理器具もそろっているため、手ぶらでの入居も可能だ。布団のレンタルもあるため、かばん一つで、子どもの手を引いてやってくればいいわけだ。

撮影=プレジデントオンライン編集部

賃料は一番広い8畳で4万2000円、他は3万8000円から3万9500円。共益費は2万円と子ども一人に対して5000円の加算。共益費には水道光熱費、Wi-Fi使用料、共用部清掃、ティッシュや洗剤、ゴミ袋など日常品の共同購入代が含まれている。つまり、月に7万円あれば、住まいに関することは全てカバーでき、食費や被服費、子どもに関する出費などの負担だけで生活できる。母子家庭となったばかりの不安定な身には、どれだけ助かることだろう。

それだけではない。同居人は同じシングルマザーや子どもがいることを理解してくれる女性だ。共用スペースは大きなテレビとソファがあるリビングなので、お互いいろいろ話もできる。当事者同士の支え合い、助け合うという精神面でのケアこそ、シェアハウスの強みだ。しかも“伊勢原のお母さん”、恵子さんがきちんといてくれる。子ども同士の育ち合いもあれば、お互いに子どもを預かることも一つ屋根の下だからこそ、大した負担ではない。

いまだに家賃未払いはゼロ

希望者はまず恵子さんと面談をし、恵子さんがこの人なら大丈夫と判断した女性が入居できる。契約に際してはデポジットが要るが、保証人を立てる必要はない。この保証人問題も、シングルマザーにとって大きな足かせとなっている。私自身、シングルマザーになりアパートを探した時に、不動産屋から「母子家庭はちょっと……。ちゃんとした保証人でもいれば」と何件も断られた。

身一つで夫から逃げてくるシングルマザーなど緊急性が高いこともあり、保証人保証会社不要で、敷金礼金なしを貫く。

ただし、男子は小学3年生まで、女子は中学3年までという入居条件がある。

「大きくなるとプライベートスペースが必要になりますし、ここは長くいる場所じゃない。次に行くための、ステップハウスなんだと」

「めぐみハウス」を運営して6年、いまだ、家賃未払いの例はない。