コンビニドーナツが失敗したのもスマホのせい

実は「スマホが隠れた競争相手になっている」という商品やサービスは山ほど存在します。私は古い世代のビジネスパーソンなので仕事に持っていく鞄はTUMIのオールドタイプのブリーフケースです。しかし今、TUMIのショップに行くと売っている鞄の大半はリュックサックタイプです。かばんを手に持つと歩きスマホができないので、古いタイプのかばんは消費者に嫌われ始めているのです。

以前、コンビニ大手のセブン‐イレブンがドーナツ市場に参入して失敗したことがあります。アメリカでは朝、出勤時にコーヒーとドーナツを買って食べながら出社する人がたくさんいました。それをイメージしてセブンカフェの成功後、「左手にコーヒー、右手にドーナツ」を狙ったわけですが見事に失敗しました。右手にはスマホが握られていたからです。

雑誌が売れなくなった最大の理由もスマホです。雑誌が売れなくなり始めた当時「若者の活字離れ」だと言われましたが、実際には若者は毎日大量の活字をSNSで読んでいます。森永のチョコフレークや明治のカールが全国販売終了した理由は、あれを食べるとスマホを持つ手が汚れるからです。

飲料メーカーの敵は同業他社ではない

それと同じ現象が今、アルコール業界にも起きているのではないかというのが今回の記事の内容です。スマホ登場以前のアフター5は、ビールをジョッキで3杯飲んで仕事のことなどぱーっと忘れて陽気にお酒を楽しむのが日本人の習慣でした。

ところがスマホが登場してからは、ビールは最初の1杯でやめにして、そこからはノンアル飲料で飲み会を楽しもうと考える人が増加した。なぜならば24時まではSNSに投稿するために脳みそを稼働させておかなければならないからです。

サントリーの競争相手はキリンでもアサヒでもなく、実は携帯各社とLINE、フェイスブック、YouTubeだという説です。「戦う相手を間違っていませんか?」ということでもう一度、アルコールの販売戦略を再検証してみるのはどうでしょうか。

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