新たに背負った130億ドルの巨額負債

しかしマスク氏による買収を経て、同社の帳簿は著しく悪化した。同社の買収に充てた440億ドルという巨額の資金を捻出するため、マスク氏は自身が所有するテスラ株の一部を売却している。それでも不足した130億ドルは、Twitter社に負債として背負わせた。

NPRはこの負債が、2022年に同社が予想している収益の7倍に相当する額だと指摘している。このことから、「これはTwitterのような規模の企業にとっては、巨額の負債である」と記事は強調している。

さらに「これは実質的に(金利負担付きの)巨大なクレジットカードだ」とも指摘し、年間の利払いが10億ドルに達するとの事実も明かした。

記事によると、昨年Twitter社が利払いに充てたキャッシュフローはわずか6億ドル少々であった。新たに背負い込んだ10億ドルは「Twitterにとって問題だ」とNPRは憂慮する。

ブルームバーグも、倒産は現実的なシナリオのひとつだと捉えたようだ。「今後すぐに倒産となる可能性は低いにせよ、(従業員宛のレターで倒産の可能性を指摘した)彼のコメントを完全に無視するべきではない」と指摘する。

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米経営学者は「倒産は最善の選択肢」と指摘

Twitterを買収したばかりのマスク氏にとって、倒産という最悪の選択肢は是が非でも避けたいシナリオのようにも思われる。だが、実際のところマスク氏にとって、倒産は魅力的な選択肢のひとつとなる可能性がある。

NPRは、状況によってはマスク氏にとって倒産が「最善の選択肢」になるとの見方を報じている。

ハーバード・ビジネス・スクールのアンディー・ウー准教授は記事に対し、マスク氏にはまだ余剰の資金源があると指摘している。前提として、Twitterの資金がショートしそうな局面では、マスク氏は手元のテスラ株をさらに売却し、あるいは共同で投資している幹部グループに援助を請うことが考えられるという。

しかしウー准教授はまた、仮にマスク氏らがTwitterにそれ以上の資金を投入する価値がないと判断した場合、巨額の債務の支払いを逃れるうえで、「同社にとって倒産が最善の道」であると指摘する。

ウー准教授は、仮にTwitterが倒産手続きを行った場合、投資家らが同社の経営権を取得することになると説明している。ただしその場合も、マスク氏に経営の才覚があるとみなされる限り、マスク氏がCEOに留任し続けることも制度上は可能だ。

このシナリオではマスク氏はTwitter社の債務を清算しつつ、引き続き社のCEOとして指揮を執ることが可能となる。「破産によってマスクは負債を整理でき、社にとっては財務の安定性につながるでしょう」とウー氏は述べ、マスク氏は必ずしも破産の選択肢を恐れていないとの認識を示した。