数字だけより絵がある九九表を選ぶ

お子さんがこれから九九を学ぶのならば、九九表は数字だけのものよりも、8×3ならイチゴ8個が3つの皿に盛られているようなイラスト入りのものを選ぶといいでしょう。

数を数字という記号としてだけでなく、実感のある数として捉えていくことが数の感覚を磨き、算数の勉強を楽にしていきます。

イチゴが8個盛られた皿が3つあることを目で見ながら「8×3=24(はちさんにじゅうし)」と繰り返し唱えるのと、数字だけを見て暗唱するのを比べると、スムースに進むように見えるのは数字だけの九九表かもしれません。

しかし、スラスラとよどみなく言えることを目指すよりも、九九の意味と役割を理解し、しっかり記憶に定着させる暗唱の手助けをしてあげてほしいと思います。急ぐ必要はないのです。

時間をかけて醸成していく

九九を全部覚えて言えるようになっても、いざ問題に向かったときに「はて、九九って何のことでしたっけ?」という恐ろしいことにならないように、九九表は長い期間張っておいて、いつも身近に感じられる環境を保っておくといいでしょう。

3年生、4年生くらいまでは、もちろん張っておきます。順調にいけば、5年生くらいで「もういい」という状態になるでしょうけど、それでも無理にはがす必要はありません。

リビングやトイレに張ってあれば、折に触れて子どもの目に入ります。壁に張ってある学習教材はたいていそのうち風景と化して目に入らなくなるものですが、しつこく張っておくと、ふとしたときに目に留まります。「8×3=24(はちさんにじゅうし)これって当たり前だよな」「まだ張ってるけど、さすがにもういいかな」と、本人が感じ始めます。

西村則康・辻義夫『理系が得意になる子の育て方』(ウェッジ)

そこからさらに進み、九九の意味をしっかり理解できるようになっただけでなく、自在に使いこなせる計算力がついたとき、「ああ、最初は九九がわかってなかったんだ」ということを振り返って見られるようになります。

そしてそのうち、九九がわかっていなかったということすら忘れて、われわれ大人が今、九九がわからなかった感覚などまったく思い出せないのと同じような感覚になっていきます。

状態になるまで、九九表は張っておくつもりでいてください。そんな子どもの心の中までわからないのではと思われるかもしれませんが、文章問題が難しくなるにつれ「危ういな」と感じる箇所が見えてくるはずです。そのときはまた戻ればいいのです。時間をかけて醸成していけば大丈夫です。

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