メタバースと「自在ホンヤク機」は相性抜群

自在ホンヤク機で利用者の情報がどんどん集積することになれば、今流行りの仮想空間、メタバースで、その人の代わりとなるアバターとして、よりリアルに活用できるかもしれない。

中村尚樹『最先端の研究者に聞く 日本一わかりやすい2050の未来技術』(プレジデント社)

「利用が進むにつれて自在ホンヤク機のなかに蓄積していくライブモデルは、デジタルツインといってもいいものです。そこには個人情報がたくさん詰まっていますので、データをどのように管理し、活用していくのか、検討すべき課題と思っています」

新型コロナウイルス感染症の予防対策として、パソコンやスマートフォンを利用し、ミーティングやセミナーをオンラインで行うビデオ会議システムの利用が急速に増えた。離れた場所でも顔を見ながら話ができるため、非常に便利なのは確かだ。その一方で、画面越しだと相手の雰囲気がつかめず、手応えが感じられないなどの課題も指摘されている。自在ホンヤク機があれば、お互いに空気を読んでよりリアルな空間を感じられるようになるのではないだろうか。

「それを目指しています。特に今の状況下で、コンピューターを介したコミュニケーションがぐっと一般化して利用が進んだと思いますので、様々なデバイスを使って自在ホンヤク機を実装していく社会基盤としては、取り組みを進めやすい状況になっているのではないかと考えています」

すでに筒井のもとには、日本内外の大手IT企業などから、協業に向けた問い合わせが相次いでいるという。確かにITベンダーにとって、自社の製品に自在ホンヤク機のソフトを組み込むだけで、会話がスムーズになるとすれば、非常に魅力的だ。