簡単なことでいいから役割を与えたほうがいい

小学校中高学年以上のお子さんが学校に行かないと決めたら、「ママやパパは仕事が忙しい。あなたは家にいるわけだから代わりに、家のことをやってね」と約束させます。たとえば、食後の食器を洗うこと、洗濯機を回して洗濯物を干すこと、洗濯物を取り込んでたたむことなど、家にいるからできることを子どもの役割にしましょう。

行うことはなんでもよいのですが、生活をまわす上で外せない作業をしてもらいます。お母さんが帰ってくるまでにご飯をつくるための準備をやってもらうのもよいでしょう。お米をといで、4時に炊飯ボタンを押してもらえれば助かりますよね。

それらを提案し、「やってくれる?」と交渉します。また、お昼ご飯は自分で用意させてください。「給食費、330円もったいないよね」と言い、昼は自分でコストをかけずに食事を用意することを義務としてやってもらいましょう。冷凍食品をチンする、カップスープにお湯を注いで、朝の残りのご飯をおにぎりにして昼食にするなど、そのお子さんができる簡単なものでいいのです。

昼夜逆転になる前に役割を与えるべき

成田奈緒子『「発達障害」と間違われる子どもたち』(青春新書インテリジェンス)

子どもに家のことをやらせるのは、学校に行かない「罰」では決してありません。目的は子どもに役割を与えることです。不登校や行き渋りになっている子は何かしら自信をなくしています。そこで、役割を与えてそれをこなしてもらい「ありがとう、助かった」と親から伝えることで、子どもの自信をつけるのです。

家の中で何もしないでいたら自己評価は低くなりますが、家事をしてありがとうと感謝されれば、自己肯定感が上がります。こうして家庭の中で人格が認められて、自信がつけばいつかは必ず学校に行くようになります。「こんな自分なら学校に行っても大丈夫だ」と思えるようになるからです。

よく不登校で昼夜逆転してしまった、朝からゲーム漬けになってしまったという話を聞きますが、これらは一番避けたいケースです。昼夜逆転してしまった後から「おうちの仕事をやってね」「おひるごはんは自分でつくってね」と約束することは難しいので、行かないと決めた最初の段階で、この約束をすることが肝心です。

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