ペレストロイカの評価

ソ連崩壊はペレストロイカを断ち切った。しかしソ連崩壊は、私の敵対者や、あの時代の本質とその《究極の成果》を理解しない人々が主張するようなものでは決してない。ペレストロイカは、何世紀ものロシアの歴史の中でそれが転換点になったという意義に照らして、全世界にもたらしたポジティブな結果に照らして、評価されるべきだろう。

もちろん我々には失敗もあった。もっと早く党の改革に、連邦の地方分権に取り組み、もっと大胆に経済改革を進めるべきだった。しかし、ペレストロイカには現実の成果がある。冷戦の終結、前例のない核軍縮合意、言論・集会・信教・移動といった人々の自由と権利の獲得、複数候補選挙と多党制だ。何より重要なのは、変化のプロセスを後戻りができない地点にまで導いたことだ。

我々が改革の冒頭で掲げた目的、すなわち定期的な政権交代、人々が決定過程に影響力を持つ確かなメカニズムの創設から、私たちはまだ遠いところにいる。それでも、この数十年間は過去への回帰でも足踏みでもない。私はペレストロイカが具現化したものや価値を維持するよう求めてきた。これは、それがなければ道に迷ってしまう「道標」なのだ。ペレストロイカを理解し、新思考を貫くこと。ソ連大統領を退任後、私はこれに従って行動してきた。

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反核・非軍事の必要性

我々は冷戦に終止符を打った。米国の政治家は冷戦での共通の勝利を確認する代わりに、自らの《冷戦での勝利》を表明した。当時、その後の世界の流れを決めることになる失敗や急変が起きた。ここに、新しい世界政治の基盤をぐらつかせた誤りや失敗の根がある。勝利者意識は政治でのあしき助言者であり、モラルを欠くものだ。政治とモラルを結びつける志向は、新思考の重要な原則のひとつである。今日、政治的意志の機能不全を克服するには、倫理的なアプローチに基づくしかない。

グローバル世界の国家関係は、全人類的なモラルの原則に基づいた行動規則によって調整されなければならない。この《振る舞いのルール》は、自制と、全方面の利益の考慮と、情勢悪化や危機の脅威が迫った際の調整と仲介を前提としている。

そして、新思考を貫きつつ私が注意を促す重要なことは、反核、非軍事の方向性である。核兵器が存在する限り核戦争の危険性があるのだ。