体重が同世代の3分の2になってしまった小4女児

――書籍で紹介されていた、体重が同世代の3分の2になってしまった小4女児のお話も衝撃的でした。

【成田】大企業に勤めながら小学生4年生の子どもを育てていたルミさんのお話ですね。ルミさんは子育てに一生懸命で、娘さんには有機野菜やブランド食材でつくった手作りの料理しか食べさせていませんでした。

両親から愛情を注がれて育った娘さんは学校の成績も抜群で、お父さんの趣味でもあったトライアスロンを始めたときは、参加した大会の部で表彰台に上がるほどの才能を見せるなど、何でもできる子だったと聞いています。

ただ、トライアスロンの結果が出るように、ルミさんがより厳選した食材で調理するようになり、娘さんもストイックな食事制限で応えようとするうちに、だんだんと食べられなくなってしまったんですね。私たちのもとに診察に来るようになって、娘さんとも関係を築けるようになった頃、「どうして食べられなくなったのかな?」と尋ねてみました。すると、彼女は「ママが素敵すぎるから」と答えたんです。

――衝撃的な答えですね。

【成田】ルミさんはご自身の容姿にもかなり気を使っていらっしゃって、お子さんを産んだとは思えないような体形だったんです。食べ盛りで体を大きくしないといけない時期なんですが「ママみたいになれなくなったら困る」と娘さんは不安になってしまったんですね。親御さんの完璧主義が子どもを追い詰めてしまう典型的な例のひとつです。

「ママに嫌われる」という動機で摂食障害に

――摂食障害は思春期以降の女性に多いイメージがありました。

【成田】私が医学部に在籍していた1980年代には、摂食障害の診断基準のひとつに「思春期以降」という項目があって、それ以前に摂食障害と診断されることはあり得なかったんです。

それなのに、アメリカから帰ってきた頃には、小学生で拒食症になる事例が増えていて、非常に驚きました。性別比も98:2で女性が多かったのに、拒食症と診断される男性も増えています。今では性別に関係なく起きる低年齢型の拒食症が診断基準に追加されています。

――低年齢型の拒食症や拒食症の男児は、なぜ増えたのでしょうか。

【成田】従来の拒食症は「私の体が自分の理想と違う」というボディイメージとの乖離が原因になっているのに対し、低年齢型の拒食症は「ママと同じになれない不安」や「ママに嫌われてしまう不安」といった「見捨てられ不安」なんですよね。

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小学生男児が拒食症になってしまう理由も基本的には同じです。たとえば、小さいときから「なんでも残さず食べなさい」という親御さんの強迫的な教育のもと、親が作ったごはんをきっちり食べることを見せることによって親を安心させるという関係性を築いてきていた男児がいたとします。

そうした男児が給食という誰がつくったかわからない食べ物をどっさり盛られて、これを食べきれないかもしれないと思ったときに「ママに嫌われる」という思考に結びついてしまうんですね。