このままでは経済格差が拡大する恐れ
経済全体で考えると、物価上昇、これまでの記憶などを基に、節約をより強く意識する家計はさらに増えそうだ。GDPの約54%を占める個人消費の持ち直しペースが緩慢になる可能性は軽視できない。そうした展開が予想される中、政府が個人消費の下支えを目指して電力料金などの負担軽減策を延長、あるいは新しい対策を実施する可能性は高い。
ただ、国債発行に頼って物価対策を続けることには限界がある。増税による財源確保も難しい。足許では、国内の設備投資のペースも鈍化している。米国やユーロ圏での追加利上げの影響などもあり、わが国の輸出にもブレーキはかかりやすい。今後の展開次第では景気の回復ペースは弱まり、家計ごとの物価上昇対応力の差などを背景に経済格差が拡大する恐れも排除できない。