EVの課題「航続距離」と「充電」を解決
もちろん、テスラの魅力はそれだけではありません。実際にモデル3やモデルYを所有している私個人としては、先進的なデザイン設計よりもむしろEVとしての質の高さに魅力を感じていますし、それがテスラ車の人気を語る上で外せないポイントであると考えています。自動運転などの先進性は付加価値に過ぎません。重要なのは、日常の足として実用的に使用できるのかどうかという車としての基本性能です。
EVを内燃機関車と比較した時に、EVには車としての基本性能にふたつの弱点があります。航続距離と充電によるエネルギー補給です。しかしテスラはそのどちらも克服しているのです。
まずひとつ目の航続距離について見てみましょう。現在発売されている内燃機関車は、ガソリン満タンの場合で軽自動車は500〜600km走行可能、ハイブリッド車の場合は1000km走行することができます。
一方EVは、例えば初代日産リーフはメーカーのデータで航続距離は200kmですが、高速道路を時速100kmでクーラーをつけて走行しても達成可能な実用使いにおいて最も信用に値するアメリカのEPA基準で算出された航続距離を参照してみると、その航続距離はたったの117kmです。これではやはりEVは内燃機関車よりも明らかに航続距離で劣っており、車としての基本性能が実用的ではないと感じられると思います。
モデル3の航続距離は最長576km
しかしテスラ車は、2022年モデルのモデル3の航続距離は最長576km、テスラのフラグシップモデルであるモデルSは2022年モデルで最長652kmという航続距離を達成し、EVの弱点を克服しています。EVの弱点であった航続距離の短さは、初代日産リーフが発売されてから10年余りで目覚ましい改善が行われているのです。ちなみに現在、EPA基準で最も航続距離が長いEVはテスラ車ではなく、テスラモデルSのチーフエンジニアであったピーター・ローリンソンがトップを務める新興EVメーカー、ルーシッド・モーターズのフラグシップセダンであるAir(エア)、その航続距離はなんと837kmに到達しています。
EVの弱点だった航続距離の数値も、現在では従来の内燃機関車と遜色のないレベルにまで改善してきており、EV最高クラスの航続距離を達成しているテスラに追いつき追い越せとばかりに、競合EVメーカーがテスラを凌駕し始めています。