多くの日本国民がほとんどの財産を失った
それまで、国民は自分のお金を守る(隠す)ために、結構な量の日本円を自宅のタンスの中にしまって保管していました。もちろん、銀行に預けているといくら持っているか国にわかられてしまうため、国家に取り上げられてしまうリスクがあったからです。
しかし、「そのまま持っていると紙くずになるぞ」と脅されたのではしょうがなく現金を銀行に持っていきます。
そしてそのまま政府は、無理に預金させたお金を封鎖しました。
お金はほとんど下ろせなくなり、その上、持っている資産に対して強烈な比率で没収していきました。たとえば、当時のお金で1500万円以上持っている人は、9割も国に持っていかれるということにしてしまったのです。
このプロセスはすべて国家が国会で法律をつくって行いました。つまり正しい手順を踏んで実行されたのです。ですので、国のデフォルトでも不履行(いずれも約束通りに期日にお金を返せないこと)でもなんでもありません。
正しい手順ではありましたが、この結果、日本国民はほとんどの財産を失いました。この新円切り替えに比べると、国債がデフォルトをして、国債を買った人だけが損する方が余程ましです(もちろん、国債がデフォルトするようなことがあれば波及効果がすごいでしょうから、それだけですむはずはありませんが)。
現在の日本の台所事情は戦後よりもひどい
このように、国民の財産を大変な勢いで没収し、大惨事を引き起こした「国の借金」は当時いくらだったのでしょうか。
どれくらいの規模だったのかというと、GDP745億円に対して国債は1175億円でした。GDPの1.6倍弱くらいです。
では、現在の借金の状況を見ていきましょう。
国と地方で合計1300兆円、対GDP比は2.5倍となっています。つまり、戦後の新円切り替え時よりひどいのです。しかも、世界でくらべてもかなり多いことがわかります。
もちろん、リーマン・ショックをはじめ、さまざまな不況の要因があったので、景気を支えるために仕方なく借金したこともあります。しかし、日本の借金はハイペースでずっと増え続けています。ざっくりと毎年約30兆円くらい増えていっているのです。
毎月2.5兆円だと、1週間で5800億円、1日で820億円、1時間で34億円というすさまじいスピードです。
国が借りたお金を返さず残っている国債を、国債の残高といいますが、現在約1000兆円くらいです。もしここで、平均借入金利が1%上がると利払いだけで10兆円が増加することになります。
もし新規に国債発行するのをやめて増税で賄おうとすると、消費税を25%にしてようやく借金が増えない状態になります。しかし、現在より15%も消費税を値上げするのは現実的ではありません。
現在では新型コロナの影響もあってさらに借金が増えました。営業自粛したお店への補塡や人件費の補塡、ワクチン代などでどんどんお金をかけています。いかに日本が借金が多いかわかっていただけたでしょうか。