「日本人が日本を信用しなくなるかどうかはわからない」

それにしても、どうしてこんなに両極端な議論を延々と続けているのでしょうか。

「こっちが正しい」という結論はでないのでしょうか。

私はこの問題を20年以上考えていて、さまざまな意見や論文を読んでもみましたが、この論争に決着がつかないのは、最終的には「日本人がこの国を信用しなくなって見捨てるかどうかがわからないから」ではないかと思っています。

会社が倒産するときを考えてみましょう。

ある会社が、業績が悪くなり赤字が続いて、現金がどんどん会社から出ていったとします。しかし、そんな会社でも、誰かが無尽蔵にお金を貸してくれている限りは絶対に倒産しません。

会社が倒産するのは、誰もお金を貸してくれなくなるときです。とてもシンプルです。

日本という国についても、このように「誰かがお金を貸してくれる」=「日本人は何があっても日本を見捨てないから大丈夫」ということでしたら破綻しません。しかし「こんな国は、もうお金を貸してもだめだ」と思われればそれまでです。ちなみに、ここでの「お金を貸してくれる」とはざっくりと「国債が売れる」という理解で大丈夫です(細かくはいろいろあります)。

日本に対する信用は感情的で読みづらい

日本人が将来的に日本を信じなくなるかどうかは、なってみないとわかりません。

だからこそ、日本が破綻するリスクについての論争も、いつまでたっても決着がつかないのでしょう。

「あの人がどんなに借金しても、愛し続けてくれる。あの人は私を見捨てない」
「いや、さすがにそこまで借金まみれだと、もう離婚されるだろう」

このふたりの意見のどちらが正しいかは、相手に聞いてみなければわかりません。

相手の気持ちを想像していくら論理的に議論しようとしても決着はつかないでしょう。

しかし、この相手が追い込まれているのは事実です。

「日本を見捨てるかどうか日本人が迷うくらい」追い込まれるとは具体的にどういうことかについては、このあと紙面を割きます。ここでは、日本人が日本を信用しなくなるかどうかは、感情的な問題なのでほぼ読めない、ということをお伝えしておきたいと思います。

こういう状況であると理解した上で、では、自分なりに考えるとしたら、あなたはどうしますか?

たとえば、自分なりに「日本円はそのうち日本人の信頼を失い、紙くずになってしまうだろう」と思われた人は、ご自身の現金をドルなどの外貨に替えておかれるといいでしょう。