元々はEVに力を入れていた

自動車産業のEV化は加速している(図表4)。

トヨタもEVを無視してきたわけではない。2010年にテスラと資本・業務提携を行い、2012年には共同開発による「RAV4 EV」を発売したほどEVに力を入れていた。

ところが、2014年にテスラとの業務提携を解消。保有していたテスラ株も2016年までに全て売却している。おそらく、この頃にEV開発を後回しにするような決定があったのだろう。

そのテスラの2022年の販売台数は131万台と、前年比40%増を記録。

2023年の販売台数はさらに50%増の200万台弱と予想されている。

イーロン・マスクCEOの目標通り、年率50%の成長を続けられれば、2025年のテスラの販売台数は350万台に達することになる。

この350万台という数字は、2021年12月にトヨタが掲げた「2030年EV販売目標」と同じだ。

つまり、テスラはトヨタの目標を「5年前倒し」で達成しつつあると言える。

イーロン・マスクCEOは「2030年には2000万台生産・販売」という目標も発表している。こちらもあくまで目標に過ぎないが、これがもし実現すれば、テスラは名実ともにトヨタを超え、世界一の自動車メーカーとなるだろう。

BYDなどライバルが次々に台頭

中国BYDの急成長も見逃せない。

2022年のBEV販売台数は約91万台と、テスラに次いで世界2位。

ただ、PHVも含めた数字では185万台と、世界トップに輝く。2021年比で3倍増というすさまじい成長ぶりだ。

BYDの王伝福会長は、2023年の生産・販売目標を400万台としている。

筆者は、2020年代後半には、BYD、テスラのどちらか一方、あるいは両方が、EVだけでなく、自動車全体でトップの座に就いている可能性が高いと見ている。

両社の後ろには、NIO、小鵬、理想、Lucid、Rivian、Fisker、Polestarといった新興EVメーカー群がつづく。

またVWなど老舗自動車メーカーも必死にEV化を進めている。