それは、彼女がフランス人だからというより、彼女自身のパーソナリティによるところが大きかったのではないかと思います。

偶然に出会ったひとりの女性のパーソナリティが、結婚という形に結びついたことで、私自身の人生の方向を決めたのです。もし彼女と出会っていなければ、おそらくトリンプでの成功もなかったでしょうし、その体験をもとに、ビジネス書や講演などを通して多くの方々にメッセージを送る機会もなかったのではないかと思います。

それほど、彼女との結婚は、私の人生に大きな影響をもたらしました。

東日本大震災以降、結婚相談所での成婚件数が急増するなど、家族の絆への意識が高まっていることはみなさんもご存じの通りです。しかし、その一方で、晩婚化や未婚傾向は高止まりしたまま、少子化傾向もいっこうに改善の気配がありません。

大きな理由のひとつに、先々の経済的な不安が挙げられます。ことに、結婚に二の足を踏む男性には、このケースが多いといわれます。一方、女性側には、「ふさわしい人がいない」と出会いの不遇を嘆く声が多いようです。

しかし、いずれの理由も、私からすると素直に共感する思いにはなれないのです。結婚相手を見つけるのも、結婚に踏み切ることも、そして結婚生活を送っていくことも、その気になればなんとかなる、きっとうまくいく、そう思うからです。

多少の不安はあったとしても、愛が支える互いの心に従い、最初の一歩を踏み出せば、1+1が3にも4にもなるのが結婚です。それは、結婚後に直面したいくつもの「山」を越えてきた私の実感です。

自分が学生結婚や国際結婚をしたから、力を込めてそう言うわけではありません。適齢期の結婚であれ、晩婚であれ、もちろん日本人同士の結婚であっても、結婚が新たな人生のジャンピング・ボードになることはまちがいのないことです。

それは、時代や洋の東西を問わず受け継がれてきた「人生の公式」のようなものだと思いますが、ただ、これから結婚する若い世代には、従来の“公式”を少し見直してほしい。それが、本書執筆の大きな動機になっています。