高齢者は家に閉じこもらず、外に出て活動するように

次に、自宅で過ごす時間がどうなったかを総務省統計局が5年ごとに実施している「社会生活基本調査」のデータで見てみよう(図表3参照)。

調査が2011年、16年、21年と行われているので、2011~16年の変化がコロナ前の状況、2016~21年の変化がコロナの影響をあらわしていると捉えられる。

2011~16年(棒グラフ:ピンク)にはほとんどの年齢階層で自宅生活時間は減少傾向にある。日本人が自宅外で活発に活動する方向にあったことを見て取ることができる。

そのなかでも55~64歳(マイナス28ポイント)と75歳以上(マイナス33ポイント)では自宅時間が大きく減少している点が目立っている。75歳以上の場合はデイケアなどで高齢者施設へ通う人が増えたという要素もあるだろうが、55~64歳のばあいは、通勤に加え、趣味・レジャーなどで外出する人が増えたためと考えられる。

一方、2016~21年の変化(棒グラフ:黒)はどうか。こちらは逆にほとんどの年齢層で自宅時間が増加しており、コロナ禍の影響で外出が控えられるようになったという動きが目立っている。

その中で高齢者はコロナを恐れて若年層より自宅時間が増えたかというと、その反対である。55~64歳(プラス39ポイント)、65~74歳(プラス19ポイント)の自宅時間の増加はそれより若い世代(例:25~34歳はプラス92ポイント)よりずっと少なくなっている。高齢者はコロナ禍でも外出をそれほど控えていないのである。

75歳以上ではむしろ自宅時間がマイナスとなっているが、これは高齢者施設で過ごす時間が増えたためかもしれない。

トータルに見て、高齢者がもっぱら自宅にいるという状況は過去のものとなりつつあるのである。