STEP2 しっかりと覚悟を決める

さて、目的は「なぜ」という質問で明確になるとお伝えしました。

ベストパフォーマンスを発揮している人は、目的が定まったあと何をしているのか。それは「覚悟を決めること」です。

・達成した先の結果が理解できる(思考)
・やりたい気持ちになる(感情)
・強い覚悟を身体に刻む(感覚)

人間はこの条件を満たさないと、目的をやろうという気持ちが起きません。

目的を定めても、すぐに行動に移せないという経験をしたことが誰しもあるのではないでしょうか。

学習塾のCMで、子どものやる気スイッチを塾の先生が押すというものがありました。背中についているスイッチを押すと、やる気のある子どもに変身するという映像です。

しかし、実際には他人が人のやる気を促すことは難しいものです。親が口煩く言っても、ご褒美をちらつかせても、勉強しないと将来が大変だと教えても、子どものやる気スイッチをONにすることはできません。

もし勉強をはじめたとしても、真のやる気でなくその場逃れの見せかけのやる気では、行動は継続しなくなります。

脳では「感情」のほうが思考より早く反応する

心理学や脳科学では、「脳は快を好んで痛みを避ける」と表現されます。

たとえば、人と関わることが好き(快)で接客業に就いたとしても、仕事をするうえで苦手とすることや不安な気持ち(痛み)があれば、不安な気持ちのほうが行動の決定権を握ってしまい、前に進めないということです。

思考で目的を定めても、脳では「感情」のほうが思考より早く反応してしまうのです。

自分の心の底にある不安感を無視しながら接客をしていても、エネルギーは湧きません。接客はお客様から反応が返ってくるからこそ楽しいのに、それを楽しむ余裕がないのは、あまりにもったいないことです。

では、好きなこと、やりたいことだけを目的にすればいいのでしょうか。これも違います。

自分の実力よりも難しいことや、困難なことにチャレンジしてこそレベルアップができるのです。

たとえば、ピアノが好きで、最初は「猫ふんじゃった」が弾けるようになり満足したとします。すると今度は、もっと難しい曲が弾きたくなります。好きだからこそ向上心が生まれます。

写真=iStock.com/pidjoe
※写真はイメージです

新しい演目を達成するたびに達成感と技術が上がるので、演奏はさらに楽しくなり練習が嫌ではなくなります。そんなある日、「ラ・カンパネラ」を聴いて深く感動したら、いつか自分も弾いてみたいと憧れを抱くかもしれません。

名曲「ラ・カンパネラ」は、世界中のピアニストたちが選ぶ一番難しい曲。弾けるようになるまで血のにじむような練習をするしかありません。

しかし、絶対に弾いてみたいと強く願う「感情」「感覚」があれば、それがやる気になり、練習が辛くても「やるぞ!」という覚悟が練習を継続させます。