「新聞をほぼ毎日読む」という大学生は1%
紙の新聞の部数激減が止まらないのは、若い世代がほとんど新聞を読まなくなったためだ。
私が2022年度に講義を持った千葉商科大学の学生延べ977人にアンケートしたところ、回答した876人のうち紙の新聞を購読してほぼ毎日読むと答えた学生は9人(1%)だった。これには自宅からの通学で親が購読している新聞を読んでいるという学生も含まれる。
一方、「まったく読まない」と答えた学生は62%に当たる540人に達した。もちろん同じ大学に通う学生という偏りはあるものの、平均的な若者と新聞との関係を示していると見ていいだろう。
日本新聞協会の統計で「1世帯あたりの部数」を見ると0.53部なので、つまり平均では2世帯に1部ということになる。もちろん高齢者やビジネスマンには複数部数を購読している人もいるから、実際には新聞を購読していない世帯は5割を超えるだろう。学生の6割が「まったく読まない」という回答は実態を表していると見ていいのではないか。
残りの回答は「レポートなど必要な時に月数回程度読む」と答えた学生が213人(24%)、「週に1、2回程度読む」とした学生が108人(12%)、「週に3、4回程度読む」が6人(1%)だった。
学生に聞くと「新聞はおじいちゃんが読んでいます」という答えが返ってくる。若者から見れば、高齢者のメディア、という位置付けなのだろうか。
「ニュースサイト」と「デジタル版」はまったく別物
「紙の新聞は滅びても、デジタル版がある」という声もある。
確かに、「紙面ビューワー」で紙の新聞のスタイルを、オンライン上で読むこともできる。だが、若者の多くは、ビューワーは使いにくいという。慣れない縦書きの上、紙の新聞を読み慣れていないため、記事がどこからどこへつながるかがわかりにくいというのだ。
結局、電子版の主軸は横書きのニュースサイトが主流だ。しかも、日経新聞などは紙の新聞よりもネットに記事を先に流す「デジタル・ファースト」を強めている。紙の新聞に親しんだ世代が、ビューワーの中心利用者と見られ、いわばそうした世代向けの「移行モデル」と言えなくもない。
つまり、紙の新聞の発行部数が減るのに比例して、ビューワーの利用も減っていく可能性が高い。
そうなると、横書きのニュースサイトが「新聞」の中心になるわけだが、これと紙の新聞はまったく性格が異なる「別のメディア」と言っていい。