花園に導けなかった監督…無念さを糧にリスタート

辞退から一週間の休みがあって、新チームがスタートした。2年生唯一の経験者、高萩君が他の部員から信任を得る形で新キャプテンになった。3年生からは「お前らは力があるから、来年、花園にいけ」と言われたという。

「ここまで勝ち上がって来たのに。3年生は悔しい気持ちがあるはず。それを忘れないで、来年の花園に出ようと2年と1年は決意をもっています。部活も高校生生活もその先の生き方にも生かさないと」

佐藤監督は新人戦に向けた練習を眺めながら、ふと、白い息とともに言葉を漏らした。

「やっぱ、一生かかっても償わないといけませんよねぇ。責任を被るって何ができるわけではないんですが。人それぞれ背負うものがあって、降ろしていければいいんですが。2年生、1年生が考えて来年頑張ることですね」

教え子たちを花園に導いてやれなかった無念を背負っていた。

そして練習が終わった後だった。

「もう、爺ですよ。この歳になってこの子たちと遊べること。遊べるって言いますか、ラグビーを教えられること。ドキドキしたり、泣いたり。それが一番、嬉しいんです」

老練な指揮官は原点に返っていた。新チームも1月の新人戦県大会への進出を決めている。

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